第38話

愛妻家の朝食
60
2019/02/25 08:23


昼過ぎに珍しく

テレビをちょっとだけ観たわ

果物が煙草の害を

少し防ぐと言うの

それですぐこの間の

お店へ買いに急いだわ

御出掛けになるのなら

必ず召し上がってね


貴方はきっと外では

違う顔なのでしょう?

だから此の手は

其の疲れを癒す為だけに在るの

今朝の様にお帰りが

酷く遅い日も屡々

明け方の孤独には

ピアノで舞踏曲ポロネーズ


貴方はそっと

指先で髪を撫でるでしょう?

だからいま黒く

揺蕩うまま伸ばす理由は只ひとつ


処でこんな情景を

どう思われますか?

差し詰め勝手

気儘な嘘を云いました

態とらしい

空の色も全部疎ましくて

だから右手に

強く握る光など既に見えない…

「もう 何も要りません。」

プリ小説オーディオドラマ