ーーーーーあなたside
目を覚ますと、
紫耀のベッドで横になっていた。
隣を見ても、
ベッドの下を見ても、
紫耀がいなかった。
その時の記憶が蘇り、
涙がポロポロと
流れ落ちてくる。
鼻水をふこうと、
机の上のティッシュを
取りに立ち上がった時、
廊下から皆の話し声が聞こえてきた。
話し声がしたかと思ったら
ドアが閉まり、
急に静かになる。
そして近づいてくる足音。
慌ててベッドに入ろうとしたけど
間に合わず、、、
むしろベッドを踏み外して
転がり落ちてしまった。
紫耀はベッドの下に
しゃがみ込むあなたに
手を差し出した。
その手を掴もうとしたが、
すぐに引っ込めた。
紫耀がベッドに座ると、
あなたも横に座ろうとした。
あなたは紫耀が座る後ろに
寝転がった。
斜め下から眺める
紫耀の横顔が綺麗で、、、
ずっと見とれていると
紫耀と目が合った。
クシャっと笑う紫耀。
そう言って紫耀は自分の手で
あなたの頬の涙を拭いた。
あなたが壁側にズレると、
紫耀があなたの横に入ってきた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。