廉はおにぎりを飲み込むと
あなたに手を差し伸べる。
あなたは廉の手を掴み
立ち上がった。
廉はあなたの頭の上に
ポンポンと手をのせ
おにぎりを食べながら
行ってしまった。
その背中は
ベランダで見送った時の
廉とは違って、
どこか吹っ切れたような、、、
スッキリして見えた気がした。
リビングへと入り、
ソファーに座る。
するとそこへ紫耀が
お茶を入れたコップを
持ってきてくれた。
そして紫耀はコップの中の
お茶を飲み干した。
紫耀はソファーに座るあなたのアゴを
クイッと持ち上げ、キスをする。
紫耀はあなたの頭を
クシャクシャっと撫でて
リビングを後にした。
しばらくボーっとするあなた。
恋愛って
《付き合う》のがゴールじゃない。
今まで片思いで
1人で走ってきた道のりに、
《好きな人》という相手が加わり
二人三脚でまた新たなスタートを切る。
付き合えるだけで
嬉しいと、、、
最初はそう思うわけで、、、。
でもそれが叶ってしまうと
また新たな欲が出てくる。
付き合えただけで
幸せなはずなのに
付き合ってるという
《証》が欲しくなる。
なんでもいい。
でもそれは
キスとかギュッとしてくれるとか
そういうのではなくて、
指輪とかネックレスとか
ブレスレットとか、、、
形あるものがいい。
形あるものじゃないと
離れている時に
無性に不安になるから、、、。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!