紫耀が戻ってくるまで
ベンチに座って待っていると、
少し離れた所で
子どもが泣いているのが見えた。
あなたは辺りを見渡すが
お母さんらしき人は
見当たらない。
今まで目をこすりながら
俯いていた子どもも、
パッと顔を上げて
あなたの事を見つめた。
両手に飲み物を持ち
紫耀が戻ってきた。
紫耀はとりあえず子どもに向かって
ニコッと笑いかけた。
そして子どもに気づかれないように
あなたにそっと聞いた。
それを聞いた紫耀は
あなたに飲み物を預け、
子どもの目線に合わせて
しゃがみ込んだ。
たっくんと名乗る子どもを
抱き上げると、
肩車をした。
紫耀はたっくんに
優しく話しかけながらも
お母さんらしき人を探す。
しばらく歩くと、
たっくんが指をさしながら
足をバタつかせだした。
あなたは紫耀の服の裾を持ち
引っ張って行く。
紫耀は肩車から下ろすと
たっくんはパーっと
走って行った。
たっくんがママと呼ぶ
女性の元へと走って行った。
抱き合う2人。
そしてその女性が
紫耀達に気がつき、
会釈をしてきた。
そう言いながら
軽く会釈を返し、手を振る紫耀。
あなたもその後ろで
軽く会釈をした。
そう言いながら微笑み
あなたから1つ飲み物を
受け取った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!