突然手を握られ驚いたのと、
それと同時に紫耀の温もりが
伝わってきた。
紫耀はあなたらしいと
笑っていた。
そう言って
片手で触れていたあなたの手を
紫耀の両手で包み込む。
紫耀は黙り込んだ。
深呼吸をし、
自分の気持ちを落ち着かせる。
紫耀の手に
自然と力が入るのを感じた。
紫耀の表情は見えないが、
紫耀の気持ちは伝わってくる。
それと同時に思い浮かぶのは
恭平の顔だった。
この時あなたは気付いた。
恭平が言っていた事の意味。
恭ちゃんはわかっていたんだ。
私がきっとこの先誰かと
付き合うだろうって。
私が恭ちゃんを想って
前に進めないことがないようにって、
それで夢に会いに来てくれたんだね。
だから私にはあって、
恭ちゃんには無いもの、
それは未来だって、、、
夢にまで出てきて
伝えに来たんだね。
そう思うと涙が出て
止まらなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。