第955話

piece921〜歌だけは自分らしく
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2020/07/31 10:21




祐奈は最後にこう言った。




平祐奈
平祐奈
今日から泊まりって、何で私が知ってるんだろうね?




それだけ言うと、

また後でね〜!と手を振りながら

ステージの裏へと消えていった。





あなた

何でよ、、。




何でこんな時に限って

紫耀はいないの?






何でこんな思いまでして

この業界にいなくちゃいけないの?





一般人になれば

この苦しみから解放されるの?





そんな事ない。

紫耀と付き合っている以上

こういう事がずっと続く、、、





歌う事をやめたいわけではない。





紫耀が悪いわけじゃない。





紫耀の事が嫌いだからではない。





ただ自分が弱いだけ。





あなた

自分のバカ、、、。





間違いだと言い聞かせる自分と

もしかしたら本当なのかと

思ってしまっている自分がいる。






自分に自信があるなら、

こんなに不安にならないのに、、、





でも特別可愛いわけでもなく

特別魅力があるわけでもない。





自分より可愛い子が

この業界には沢山いる。






でも、、、





あなた

歌だけは、自分らしく歌いたい、、。





歌うことは、

自分にとって

唯一自信を持って出来る事だから、、、






ベースを握りしめる手に

一段と力が入った。






猛を待たずに楽屋に戻り

水を勢いよく飲み始める。




そしてイヤホンをつけ、

無心になってベースを弾き続けた、、、








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