ノートや紙、箱などを元に戻し、
ピアノの音がする部屋へと向かう。
そして最後の最後で
2人が間に合い、
最後のワンフレーズを歌った。
あなたはそれに気づき
ニコっと笑いながら
ピアノの音をフェードアウトさせた。
そう言うとまたピアノを弾き始めた。
1音1音確かめるように、、、
1音1音噛みしめるように、、、
《ツナグ》を
何度も何度も
繰り返し弾いた。
そして紫耀は
そんなあなたの指元を
確認していた。
指輪をはめているか
はめていないかを。
紫耀はボソっと呟いた。
あなたの指には
指輪がはめられていなかった。
でもそうすると
指輪はどこへ?
それとも貰ってないのか?
次から次へと新たな疑問が
浮上してきていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!