第790話

piece771〜逃げ道として
2,871
2020/04/27 05:14




電話の向こう側は

静かで、、、

でも微かに聞こえる

あなたの鼻をすする音。





駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
今外、、?
あなた

《うん、、。》

駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
そっか、、。



自分からは何も

喋ろうとしないあなた。




駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
あなた、、少しは落ち着いた?



その問いに対しては

無言のままだった。




駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
廉は、、?
あなた

《今、、アイス買いに行ってくれてる。》

駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
アイス?
あなた

《ほっぺ、、冷やすのにって。》

駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
食べるのかと思った(笑)
あなた

《違うよ、、笑》




ずいぶん泣いたのだろう。




鼻声になっていて、

今どんな表情をしているか

なんとなく想像が出来た。





駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
どうした?って聞くのは簡単だけど、、、なんかさ、、電話だと、ちゃんとあなたの顔見れないし、、距離があって寂しいよな。そう思わない、、?え、、俺だけ?笑
あなた

《うん、、うん。》

駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
何その曖昧な反応。笑
あなた

《うん、、そう思う。》

駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
あー、、廉が戻ってきて気まずかったら切っていいから。それまでちょっと俺の話し聞いてもらってもい?
あなた

《うん、、。》

駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
あなたはさ、、優しんだよ。優しすぎる。もう少し自分を大事にしろよ。
あなた

《大事に、、?》

駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
必ずしもな、自分が我慢すれば、相手が救われるって事だけじゃないって事、、。今回で言えばその相手って、誰の事かわかるよな?
あなた

《紫耀、、、。》

駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
そう。そりゃさ、周りに色々言われるのはツラい、、わかるよ?でもさ、事実かどうかわからないその第三者の言う事信じるか?
あなた

《でも、、、隠してるだけかも、、しれない、、紫耀が、ガマンしてるかも、、しれない。》

駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
お前さぁ、、紫耀の事、1番近くで見てきたろ?日本中を敵に回すかもしれないような記者会見であれだけの事を言ってくれるやつは紫耀しかいないと思うけど?
あなた

《でも、、、》

駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
誰に何を言われたか知らない。どっちを信じるかを決めるのもあなた次第。でもな、悲しいからって、紫耀の事を裏切るような事をしてみろ、、、俺は絶対許さないからな。



その時あなたの後ろから

廉の声がした。




永瀬廉
永瀬廉
《買ってきたで、、!》
あなた

《ごめんね、、ありがと。》




そのやり取りの後、

電話は切られてしまった。





軽くため息をつきながら

ディスプレイを見つめる猛。




星野響(ほしのひびき)
星野響(ほしのひびき)
あなた、、何て?
駒瀬猛(こませたける)
駒瀬猛(こませたける)
んー、、俺にもよくわかんない。何も言わないから。でも大丈夫、、あなたなら俺の言いたい事伝わってるはずだから。




猛が伝えたかった事、、、





それは





悲しくて

苦しくて

どうしようもなくても、、、




紫耀から逃げずに

向き合って、、、。




悲しみに飲み込まれて、

苦しみに覆われても、

逃げ道の選択肢として

廉の元へ行くな、、、。





逃げ道じゃなくて、

マジの好きで行くなら

止めない、、、。




でも今のあなたは

そうじゃないから。




どうか逃げ道には

行かないで欲しい。









猛は心からそう願っていた。




でも最後に決めるのは

あなた自身。




その答えを知るのも

そう先の事では無い、、、。




今はあなたの心の強さを信じて

待つしか出来なかった。





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