ーーーーー紫耀side
朝のあなたの様子が
気になってはいたが、
連絡をする時間もなく、
夜遅くまで仕事に明け暮れていた。
やっと終わった頃に
スマホを見ると、
あなたからメッセージが
届いていた。
前髪をちょんまげみたいにして結び
えーんと泣いている仕草の自撮り。
そして画像の下には
《早く帰って来てね》と
書かれてあった。
《今から帰る》と
メッセージを送ると
紫耀はスマホをカバンに入れ
帰り支度をし始めた。
ーーーーーあなたside
紫耀の部屋の机で
歌詞を書いていたあなた。
うつ伏せた時に
目の前にあったスマホを見ると
ちょうど紫耀からの
メッセージが入っていたことに
気がついた。
そう思って、
リビングに行こうと
紫耀の部屋を出るあなた。
こういう時に限って
顔を合わせたくない人と
顔を合わせてしまう、、、。
まだ海人と話す
心の準備が出来ていなかったあなたは、
咄嗟にドアを閉めてしまった。
完全に閉まりきる前に
海人の足と手が
ドアに挟まるようにして
入ってきた。
そう言って海人が
グイッとドアを開けた。
今あなたの目の前にいるのは
いつもの海人のはずなのに
なぜか恐怖で
身体がすくんでしまう。
悲しそうな目で
見つめてくる海人。
あなたは無意識のうちに
少しずつ後退りをしてしまっていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。