第822話

piece799〜HUG YOU
2,739
2020/05/13 07:00



ーーーーーカチャ、、




もう紫耀が寝てたら悪いと思い

そっとドアを開け、

そしてそっとドアを閉めた。






相変わらず薄暗い紫耀の部屋。





明るい場所からきたあなたは

目を凝らしても

何も見えなかった。





目が慣れるまで

少し待とうと思い

その場にちょこんと座る。



平野紫耀
平野紫耀
遅い、、。



寝ていると思っていた紫耀が

まだ起きていた。



あなた

ごめん、寝てるかと思った。




暗闇から聞こえる紫耀の声に

返事を返す。




平野紫耀
平野紫耀
何してたの?
あなた

神と話してた。

平野紫耀
平野紫耀
アイツ起きてたんだ、、。
あなた

うん、、私がぶつかって、持ってた水、、かけちゃった。

平野紫耀
平野紫耀
うわ、廉だとガチでキレられてるやつじゃん。良かったな、神で(笑)



紫耀はその光景を

想像していたのか

笑っているのが声でわかった。



あなた

あと、、神と話す前に、、電話してた。

平野紫耀
平野紫耀
電話?こんな時間に?
あなた

うん、、。

平野紫耀
平野紫耀
誰と、、?
あなた

プロデューサーの、、マイケルと、、。




少しの沈黙のあと

紫耀が答えた。



平野紫耀
平野紫耀
そっか。



暗闇から聞こえる

《そっか》は

どこか寂しげで

悲しいトーンに聞こえた。




あなた

ちゃんと話したよ。

平野紫耀
平野紫耀
全部、、気持ち言えた?
あなた

うん、、言えた。

平野紫耀
平野紫耀
そっか、、なら良かった。



かすかに聞こえる

小さなため息。



平野紫耀
平野紫耀
いつ行くの?



紫耀のハスキーボイスが

少し震えて聞こえる。



あなた

行かないよ、、。




そっとささやくように

そう答えた。



平野紫耀
平野紫耀
は?どうゆう事?



もちろん行く前提で

話しを聞いていた紫耀。




あなたの言葉の意味が

理解できずにいた。




あなた

だから、、行かないよ。




もう一度、

今度はハッキリとした声で言った。



あなた

断ったの。さっき、、電話で。

平野紫耀
平野紫耀
お前さ、、
あなた

歌はどこでも歌える、、、。チャンスなんて自分で掴みに行ける、、、。だけど、、ここでしか手に入らない大切な、、大切にしたいモノがあるから。

平野紫耀
平野紫耀
お前さ、、ほんっとにバカだろ。



ふわっと香る紫耀の匂い。




それと同時に思いっきり

抱きしめられた。




まだ目が慣れていなかったあなたは

紫耀が近づいてきていた事に

気づいておらず、

不意打ちで抱きしめられる。




平野紫耀
平野紫耀
俺がどんだけ寂しかったか知らねぇだろ、、。
あなた

紫耀も、、そんなに寂しかったの、、?

平野紫耀
平野紫耀
うるさい、、、言ったら行きづらくなるから、、言えないだろ、、。



抱きしめる腕に力が入る。



あなた

紫耀っ、、苦しぃ、、

平野紫耀
平野紫耀
黙って抱かれとけ、、。



苦しい程抱きしめられ、

紫耀がどんなに苦しい思いで

背中を押してくれていたかが、

痛いほど伝わってきた。





プリ小説オーディオドラマ