ーーーーーカチャ、、
もう紫耀が寝てたら悪いと思い
そっとドアを開け、
そしてそっとドアを閉めた。
相変わらず薄暗い紫耀の部屋。
明るい場所からきたあなたは
目を凝らしても
何も見えなかった。
目が慣れるまで
少し待とうと思い
その場にちょこんと座る。
寝ていると思っていた紫耀が
まだ起きていた。
暗闇から聞こえる紫耀の声に
返事を返す。
紫耀はその光景を
想像していたのか
笑っているのが声でわかった。
少しの沈黙のあと
紫耀が答えた。
暗闇から聞こえる
《そっか》は
どこか寂しげで
悲しいトーンに聞こえた。
かすかに聞こえる
小さなため息。
紫耀のハスキーボイスが
少し震えて聞こえる。
そっとささやくように
そう答えた。
もちろん行く前提で
話しを聞いていた紫耀。
あなたの言葉の意味が
理解できずにいた。
もう一度、
今度はハッキリとした声で言った。
ふわっと香る紫耀の匂い。
それと同時に思いっきり
抱きしめられた。
まだ目が慣れていなかったあなたは
紫耀が近づいてきていた事に
気づいておらず、
不意打ちで抱きしめられる。
抱きしめる腕に力が入る。
苦しい程抱きしめられ、
紫耀がどんなに苦しい思いで
背中を押してくれていたかが、
痛いほど伝わってきた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。