あなたは抵抗もせずに
ギュッと目を閉じただけ。
それでも何も言わずに
黙ったままギュッと
目を閉じている。
あなたがゆっくりと目を開けると
目と鼻の先に廉の顔がある。
息を潜めるかのように
かすかに呼吸をするあなた。
廉の真っ直ぐ見つめる瞳。
あなたの助けて欲しいとすがる涙。
2人の思いは
交わるか交わらないかの
瀬戸際だった。
そう廉に聞かれて、
あなたの目には
みるみるうちに
涙が溜まっていく。
すぐそこにある
廉の真っ直ぐな瞳が
真っ直ぐにあなたの心に突き刺さる。
1回、、2回、、
瞬きの回数と同じ分
涙が頬をつたっていく。
今まで真剣な顔だった廉は
微笑みながら
あなたを見つめた。
肩を震わせながら
声を殺しながら
泣きながら
廉を見つめるあなた。
あなたは静かに
1回うなずいた。
この廉の問いかけに
少し間があいたが、
あなたはうなずいた。
それと同時に
瞬きをしなくても
どんどん涙が溢れてくる。
あなたはもう廉の事を
見つめる事が出来ずに
泣きながら静かに目を閉じた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。