あなたは片手で服の裾を持っていたが、
廉の方へと寝返りをうち、
両手で握り締める。
そして廉の細い身体に
オデコをくっつけた。
あなたは顔を伏せたまま、
廉服を引っ張った。
そんなあなたに
優しく声をかけながら、
廉は自分の両腕を
自分の頭の下に入れ枕にし、
天井を見上げていた。
優しく柔らかい声が
あなたに降り注ぐ。
1つずつ、、、
少しずつ、、、
あなたは話していった。
1つずつ、、、
少しずつ、、、
廉はあなたの思いを
言葉にさせていった。
廉の服を掴む手に力が入る。
それと同時に
あなたの流した涙が
廉の服を濡らしていった。
廉のお腹に
あなたの握り拳が何度も当たる。
いくら細くても
あなたの握り拳ぐらい
簡単に受け止められる。
身体も心も
廉が男らしいと思った瞬間だった。
あなたは首を左右にふる。
今まで鼻をすすりながら
泣いていたあなたも、
こらえきれずに
声を出して泣き出した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!