Not Honest But I Love You...
SHO ver.
一緒に暮らしだしてもう2年が経つ。
デビューしてからのこの数年は
特に忙しくて、
家に帰ってきてもご飯を食べて
お風呂に入って眠るだけ、、、
そんな日々が少なくなかった。
それでも最初の頃は
《帰ってあなたがいてくれるだけで頑張れるわ》
そう言ってくれていた。
この言葉を言われた私も
そう思ってくれているなら、、、
と寂しい時間も乗り越える事ができていた。
だけど最近は、、、
こんな素っ気ない会話しか
しなくなっていた。
腫れ物を触るかのように、
紫耀に話しかける毎日。
紫耀が寝室に行くまでは
大人しくしていて
行ったと同時に片付けだす。
明日自分で食べようと
ラップをかけ冷蔵庫にしまい
お風呂入ってから
静かに同じベッドに潜り込んだ。
もう触られるのも嫌なのか、
こちらに背を向け壁側を向いて寝ている。
そんな紫耀に背を向けた状態で
静かに目を閉じた。
ーーーーー次の日
朝起きるとそこには紫耀の姿はなくて、、、
ホッと胸を撫で下ろす自分の気持ちに
気がつく。
ぼーっとしながら
ふとカレンダーに目を向けると
今日が節分の日だという事に気がついた。
自分の分と、、、
きっといらないって言われるだろうけど
紫耀の分も。
そして豆をまく気分でも無かったが
豆も買ってきた。
案の定帰ってきて言われたのは
《いらない》のたった一言。
今日も目を合わせずに
そう言う紫耀に向かって
あなたは思いっきり豆を投げつけた。
《別れよう?》
最後のその一言を言おうとした瞬間に
抱きしめられた。
鬼のお面を取ろうとした紫耀の手よりも先に
あなたの手がお面を抑える。
紫耀はそう言って話し始めた。
そして紫耀は
あなたの持っている豆を手に取ると
自分に向かって投げ始めた。
びっくりして紫耀を見つめていると
静かに鬼のお面が外された。
そこで重なる紫耀との視線。
何ヶ月ぶりだろう、、、
こうして目が合った事さえも嬉しくて
また涙が溢れてきた。
くしゃっとした笑顔で
好きという言葉を言われ
好きという言葉をかえし
どちらともなく重なる唇。
歳の数だけ豆を食べ願うのは
《これからもずっと一緒にいれますように》
これ以上何も望まない。ただそれだけ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。