玄樹が大きな声で
ストップをかけた為
皆振り向く。
そしてあなたは
紫耀の服の裾を
ちょんちょんと引っ張った。
それに気づき、
紫耀はあなたの方を見る。
目が合うと、
あなたが何を言いたかったのか
紫耀はすぐに悟った。
小声でそう言うと、
あなたの手を掴み
立ち上がった。
あなたは手を引かれたまま、
ちょこちょこと紫耀の後を
ついていった。
紫耀の部屋に入り
パタンとドアが閉まる。
紫耀はくしゃっとした
笑顔で笑うと
そのままベッドに倒れ込んだ。
自分と同じ事を
思っていてくれている。
わかっていても
言葉にして言われると
それだけで嬉しくて
胸がいっぱいになる。
イジワルそうに笑いながら
聞いてくる紫耀。
さっきのイジワルそうな
笑顔とは違い
優しく微笑んでいた。
そんな紫耀のもとへ
一歩ずつ近づいて行く。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。