バランスを崩し
そのままあなたに倒れ込んだ。
そしてちょうどあなたの胸に
廉の手が重なる、、、。
一言、それだけ言って
また眠るあなた。
突然の事すぎて
頭が真っ白になる廉。
とりあえず落ち着こうと
あなたから離れた。
廉が振り返ると
無表情のまま
部屋の入り口に立っている
紫耀がいた。
胸ぐらを掴み
殴りかかろうとした時、
あなたと目が合った。
熱でなのか、
見られてまずかったと思ったのか、
あなたの目はウルウルしている。
それを見た瞬間、
殴る気もなくなり、
紫耀は胸ぐらから手を離した。
それだけ言い残すと
紫耀は出て行ってしまった。
あなたを残して
紫耀を追いかける事も出来ず、
ただただ立ち尽くす。
そして振り返るとそこには
眉間にシワをよせて
眠っているあなたがいた。
今ヤバい状況なのは
わかっている。
わかっているけど、
優先順位としては、
あなたを病院に連れて行くこと。
意識がはっきりしていない
こんな状態のあなたに
今の状況の説明を求めても、
到底無理だと廉は判断した。
廉はその場に座り込んで
あなたの顔を眺める事しか
できなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。