何も聞こえなくなったスマホを
耳から離すと、
ゆっくりと机の上に置いた。
顔を上げると
そこには当たり前のように
猛と響がいて、、、
こうやってあと何年
pieceを続けて行けるのだろう
願うなら
ずっとずっと
このまま一緒に続けたい、、、
そう思っていた。
でもこの世の中に
《絶対》
や
《ずっと》
が無いんだという事を
あなたが1番よくわかっている。
廉に言われた事を素直に喜べずに
そんな歪んだ事を思ってしまう自分に
あなたは嫌気がさしていた。
いつもは耳で聴いて合わせる
ベースの音も、
どこか不安定で、、、
今のあなたの心を
表しているような、、、
そんな感じだった。
あなたは1つずつ
丁寧にチューニングをしていった。
だけどなかなか合わせる事が
出来なくて、、、
そんな様子を
離れた所から見ていた猛と響は
2人で顔を見合わせていた。
見かねた響があなたに声を掛ける。
そう言いながら
あなたは響にベースを渡す。
響はあなたの代わりに
チューニングをすると、
あなたにベースを返した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!