紫耀はティッシュを取って
あなたの血のついた口を
押さえようと
手を伸ばすが、
反射的に振り払われてしまった。
《海人にキスされたから》
なんて言えるわけがなく、
黙っていると
みるみるうちに涙が溜まり、
また口を拭きだした。
紫耀はあなたの手を掴み
キスをする。
紫耀はわかっていた。
あなたが
海人からされたキスを
気にしてる事を。
舐めるように
優しくするキス。
あなたの強張っていた身体から
力が抜けるのを確認した紫耀は
あなたの身体を
ふわっと持ち上げる。
そしてゆっくりベッドに下ろした。
するとすぐにベッドの隅へと移動し
紫耀に背を向け丸まってしまった。
紫耀はそんやあなたの背中に
そっと触れた。
それだけでビクっとなる。
あなたの背中に向かって
そう言うと、
と小さな声で返ってきた。
きっと
紫耀に対してビクついた事に
謝っているのだろう、、、
それと
海人にされた事で
紫耀に対して申し訳ない気持ちで
いっぱいなのだろう、、、
あとは怖かった気持ちや
ショックなど、、、
あなたのごめんなさいからは
いろんな感情が
溢れ出ていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!