第818話

piece795〜出口のない迷路の先の光
2,726
2020/05/11 07:39



ーーーーーあなたside






お風呂から上がり、

リビングへ入ろうとした時

中で話している会話が聞こえてきた。





ドアノブにかけた手を

そっと離すあなた。




そして静かに紫耀の部屋へと

入って行った。





静かすぎるぐらい静かな部屋には

腕時計の秒針でさえ

ハッキリと聞こえるくらい。




あなた

はぁ、、。





あなたの大きなため息も

すぐに静かな部屋へと

消えてしまう。




あなた

何が正しくて、何が間違いか、、、どうしたらいんだろ、、。




紫耀の机の上にうつ伏せるあなた。





そのまま目を閉じると、

いつの間にか

眠ってしまっていた。






何かに吸い込まれるような感覚

そして誰かに呼ばれる声で

目を覚ましたあなた。





賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
気づいたか?
あなた

え、、恭ちゃん、、?

賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
バーカ、どっからどう見てもそうだろ。笑



何で?




と聞こうとしたが

ここが夢の中だという事に

気づかされる。




そして足を動かそうとしても

動かなかった。





あなた

足が、、。

賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
動かせないんだろ?
あなた

うん、、何で、、?

賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
それが今のお前だからだよ。
あなた

今の私、、

賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
進む方向がわかってねぇのに進めるかバーカ。
あなた

だって、、どうしたらいいか、、。

賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
そうやって甘えんな、、。
あなた

甘えてないもん、、、

賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
ホントはわかってるはずだろ?自分がどうしてぇか。
あなた

わかんない、、




恭平はため息まじりに言った。



賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
お前と歌は切っても切れねぇ、、それぐらいあなたにとって、音楽は必要なモノになってんだろ?
あなた

うん、、、。

賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
でも歌はどこでも歌える、、。
あなた

どこでも、、?

賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
日本だろうが、海外だろうが、宇宙だろうが、海の上だろうが、山の上だろうが、、、歌おうと思えばどこでも歌えるだろ?
あなた

うん、、。

賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
だけど、今お前の大事なモノは歌以外にもある。大切にしたい繋がりがある。それはどこでも歌える歌と違って、そこでしか手に入らねんじゃねぇの?



恭平はトントンと

自分の頭をこづいた。




賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
ここじゃねんだよ、、。



そして今度は

胸をトントンとした。




賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
ここで感じたもんを信じろ。
あなた

恭ちゃん、、。

賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
それが答え。間違いとか正しいとか、関係ねぇから。あなたが何を感じて何を信じるかだろ。
あなた

でも、、海外でって、、恭ちゃん言ってたじゃん。

賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
それは、、、



恭平は遠い向こうを見ながら言った。




賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
4人でなら行けると思ったから。俺お前と結婚するつもりだったし、、って何言わせんだよバーカ。



鼻を触りながら笑う恭平。





そんな姿を見ると

胸が締め付けられた。





賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
だから、今とは状況が違う。3人で海外デビューとかしてみろ、、俺化けて出るわ。
あなた

それ海外デビューするなって言ってるのと同じじゃん(笑)

賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
そこをどう受け取るかはお前の心次第、、。



そして恭平は

あなたに向かって両手を広げた。




賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
おいで、、今のあなたなら歩けるから、、。



その言葉を信じ、

一歩、、また一歩と

恭平に近づいて行く。




賀川恭平(かがわきょうへい)
賀川恭平(かがわきょうへい)
大丈夫。お前は周りの人達に恵まれてるよ、、、



そう言う恭平に抱きしめられながら

暖かい光に包み込まれる感覚に

落ちていった。









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