ボーっとしていた自分に気がつく。
遅くなったら心配かけてしまう。
そう思って
とりあえず帰る事にした。
リビングに顔を出すと
いつものように
皆が迎えてくれた。
あなたは逃げるように
バスルームへと向かう。
何も考えたくなくて
さっきあった事を
綺麗さっぱり
洗い流したくて
下を向き
上からシャワーを浴びた。
下へと流れ落ちていく水滴。
その中に混ざる涙も
違和感なく飲み込んでいく。
下唇を噛みしめるあなた。
自分の不甲斐ない気持ちも
全部、、、全部、、、
噛みしめた。
涙は飲み込まれていっても
ため息は声として漏れる。
行き場のないため息。
どうにも出来ない気持ち。
全部
全部
流して欲しい。
どうか
誰か
助けて欲しい。
そんな時
どうしても呟いてしまう。
そう、貴方の名前を。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!