第779話

piece760〜頬から伝わる熱
2,811
2020/04/23 04:26




ーーーーーあなたside





出演が終わり、

紫耀達を待つ間、

あなたはまた屋外のベンチに

来ていた。





さっき歌った曲を

レコーダーに入れていたあなた。




ベンチに座り、

イヤホンをつけて曲を流していた。





紫耀の低音で響く

ハスキーボイス。





それを、

ひとつひとつ噛み締めながら

聴いていた。





すると急に片方だけ

イヤホンが耳から外される。





振り向くとそこには





平祐奈
平祐奈
どうも。
あなた

祐奈さん、、。




口元は笑っているが

明らかに目が笑っていない

祐奈がいた。




平祐奈
平祐奈
どうしてここに?って顔してるけど。笑
あなた

いえ、、そんな事。

平祐奈
平祐奈
芸能人ならこんなとこ、顔パスで入れるの。知らない?



そう言いながら

ベンチに座るあなたの目の前に立ち

さっき取った片方のイヤホンを

あなたに手渡した。




平祐奈
平祐奈
何?紫耀に会見開けって言ったの?
あなた

いえ、、。

平祐奈
平祐奈
じゃあ紫耀が勝手に開いたって言いたいわけ?
あなた

そんなんじゃ、、。

平祐奈
平祐奈
ほーら、やっぱりあんたが絡んでんじゃない。



俯くあなたの顎を持ち上げ

無理矢理前を向かせた。




平祐奈
平祐奈
今ネットで紫耀が何て言われてるか見せてあげようか?笑



そう言って祐奈は

写メをあなたに見せてきた。





平祐奈
平祐奈
ここに書いてる事見える?笑




そこには




《担降りする。》

《結婚会見ならまだしも何あれ?》

《絶対CD買わない!》

《あれが彼女で紫耀くん可哀想!》

《マジないわ〜。》



散々書かれていた。




その中でも1番胸に刺さったのが




《夢を壊さないで。》




あなたはこれを読んで思った。





自分達は夢を与える仕事を

しているはずなのに

皆の夢を壊してしまったんだ、、と。





平祐奈
平祐奈
何?驚いてる?わかりきってた事でしょ(笑)
あなた

でも紫耀は、、

平祐奈
平祐奈
私の前で紫耀って呼ばないでッッ!




パシッッと大きな音と同時に

あなたの頬に激痛が走る。



そしてもう片方のイヤホンが

叩かれた衝撃によって

飛ばされた。




平祐奈
平祐奈
そりゃあ紫耀は優しいからね!あんたには「俺だけを信じてろ」とか「大丈夫だ」とか言うでしょ?優しいからね。優しいから!



頬が痛いのもあるが

それ以上に

何も言い返せないのが

悔しかった。




平祐奈
平祐奈
何その目は、、、紫耀にはそんな目しないくせに、、色気ばっか使ってそれで可愛がってもらったんでしょ?!泣けばいいじゃない!!!



そう言って同じ所を

もう一度叩かれた。




叩かれた頬が

カーっと熱くなっていくのがわかる。




平祐奈
平祐奈
言えば?私から叩かれたって。言えるもんなら言えば?そうしたら今見せた書き込みの事も全部言わなきゃいけなくなるけどね(笑)また泣いてすがって、紫耀に助けて貰えばいい、、笑
あなた

そんな事しない、、紫耀を困らせない、、!

平祐奈
平祐奈
だから私の前で紫耀って呼ぶなって!




さすがに同じところを

3回も叩かれると

感覚がおかしくなる。





ジンジンとする頬に

手を添えると

熱が伝わってくるのがわかった。





平祐奈
平祐奈
そこでずっとそうしてればいい、、。でも勘違いしないようにね?紫耀が優しいのはあんたにだけじゃない。皆に優しいの。




祐奈は最後にあなたを睨みつけ

その場から去って行った。





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