ーーーーーあなたside
出演が終わり、
紫耀達を待つ間、
あなたはまた屋外のベンチに
来ていた。
さっき歌った曲を
レコーダーに入れていたあなた。
ベンチに座り、
イヤホンをつけて曲を流していた。
紫耀の低音で響く
ハスキーボイス。
それを、
ひとつひとつ噛み締めながら
聴いていた。
すると急に片方だけ
イヤホンが耳から外される。
振り向くとそこには
口元は笑っているが
明らかに目が笑っていない
祐奈がいた。
そう言いながら
ベンチに座るあなたの目の前に立ち
さっき取った片方のイヤホンを
あなたに手渡した。
俯くあなたの顎を持ち上げ
無理矢理前を向かせた。
そう言って祐奈は
写メをあなたに見せてきた。
そこには
《担降りする。》
《結婚会見ならまだしも何あれ?》
《絶対CD買わない!》
《あれが彼女で紫耀くん可哀想!》
《マジないわ〜。》
散々書かれていた。
その中でも1番胸に刺さったのが
《夢を壊さないで。》
あなたはこれを読んで思った。
自分達は夢を与える仕事を
しているはずなのに
皆の夢を壊してしまったんだ、、と。
パシッッと大きな音と同時に
あなたの頬に激痛が走る。
そしてもう片方のイヤホンが
叩かれた衝撃によって
飛ばされた。
頬が痛いのもあるが
それ以上に
何も言い返せないのが
悔しかった。
そう言って同じ所を
もう一度叩かれた。
叩かれた頬が
カーっと熱くなっていくのがわかる。
さすがに同じところを
3回も叩かれると
感覚がおかしくなる。
ジンジンとする頬に
手を添えると
熱が伝わってくるのがわかった。
祐奈は最後にあなたを睨みつけ
その場から去って行った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。