第683話

piece673〜夜の空中散歩
3,043
2020/01/21 05:37




歩いていると

急に廉が立ち止まった。





永瀬廉
永瀬廉
なぁ、あれ乗らへん?




廉の指差す先を見ると、

様々な色で光る観覧車が。





あなたが観覧車に見とれていると

廉が質問をしてきた。





永瀬廉
永瀬廉
高いとこ怖いん?
あなた

ううん、怖くない、、!

永瀬廉
永瀬廉
なら行こ!
あなた

わ、、ちょっ、、!





廉はあなたの手を取ると

急に走り出す。




あなたは廉に

ついて行くのに必死だった。





永瀬廉
永瀬廉
なぁヤバない?俺夜の観覧車乗った事ないねん!テンション上がるわ〜!




綺麗な観覧車を見るより、

観覧車を下から見上げる

廉の横顔を見ていると、

廉と目が合う。




永瀬廉
永瀬廉
あなたは夜の観覧車乗ったことあるん?
あなた

そう言われてみたらないかも、、、。

永瀬廉
永瀬廉
俺と初体験やな(笑)
あなた

ちょっ、、何言ってんの(笑)

永瀬廉
永瀬廉
ホラ!はよ乗ろ!




廉は普通にあなたの手を取ると

観覧車に先に乗せてくれた。





そして後から廉も

乗り込んでくる。





係員さんが扉を閉め、

夜の空中散歩が始まった。





永瀬廉
永瀬廉
うっわ!バカキレイ!俺あんまイルミネーションとか感動せぇへんけどこれは格別やわ!




窓にしがみつきながら

はしゃぐ廉は

少年のようだった。




そんな廉を見ていると、

自然と笑顔になっていた。





永瀬廉
永瀬廉
やっと笑った。
あなた

え?





海人にも廉と同じ事を

言われたのを思い出す。






2人に言われなきゃ

気づかないほど

最近笑ってなかったのかな、、私。





永瀬廉
永瀬廉
どした?俺と会った時泣く寸前やったやん。




向かい側に座る廉の瞳は

真っ直ぐあなたをとらえていた。




見透かされそうで

思わず目をそらしてしまう。




永瀬廉
永瀬廉
ごめん、、言いにくいのはわかってんねん。紫耀との事やろ?




黙ってうなずく。




すると廉が

大きくため息をついた。





永瀬廉
永瀬廉
見ててしんどいわ、、。
あなた

もう、、別れるよ。好きだけど、、別れなきゃいけないから。

永瀬廉
永瀬廉
は?なんで?好きなら別れんでもえぇやん。




あなたは首を横に振る。




涙を見られたくなくて、

窓の外に視線をうつす。





皮肉にもそこには

カップル達が手を繋いで

楽しそうにしている姿が見えた。





あなた

両思いだってわかった後の、、一方通行の好きほど、、辛いものはないから、、。





綺麗なはずの景色が

涙でどんどん歪んで見えてくる。






抑えられない想いが

溢れ出していった。






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