第813話

piece791〜オレンジ色の涙
2,744
2020/05/06 13:17



向かい側に座る紫耀が

あなたの手を取り、

急に自分の方へと引っ張った。




あなた

わっっ、、!紫耀、、?!




グラっと揺れる観覧車の中で、

揺れに身体を取られる。




紫耀に支えられ、

紫耀の膝の上に座らされた。




平野紫耀
平野紫耀
見て、、あそこ。
あなた

わぁーー、、、。




そこには夕日が反射し

キラキラとオレンジ色に光る

海が見えていた。




平野紫耀
平野紫耀
海って綺麗だよなー。



背中から伝わる

紫耀のぬくもり。


あなた

ねぇ、、紫耀?

平野紫耀
平野紫耀
んー?



今だからこそ、

言ってみようと思えた。




あなた

恋愛の延長線上にね、結婚があるとして、、、でもまだ恋愛中なのね?恋愛中って、、やっぱり距離って重要かな?

平野紫耀
平野紫耀
距離??
あなた

恭ちゃんの事言ってるわけじゃないよ、、?恭ちゃんみたいに亡くなった人との距離ってわけじゃなくて、、。

平野紫耀
平野紫耀
それは俺らの事って思って答えていい?



紫耀に背を向けて

座っているあなたは、

頷く事もせず、

ただ目の前に広がる海を見ていた。




平野紫耀
平野紫耀
んー、、なんだろ、、。どっから追求していくべきか。



紫耀があなたの事を

抱きしめる腕に

力が入る。



平野紫耀
平野紫耀
海外デビューの件?



その言葉に

ピクっと反応するあなた。




そして縦に一度

うなずいた。




平野紫耀
平野紫耀
あなたが俺らの関係の事を心配してるなら、心配しなくても大丈夫だよ。



あなたを抱きしめる

あなたの前にある紫耀の手に、

ポタポタと温かい雫が

降り注ぐ。



あなた

でも、、一度行ったら、いつ戻って来れるか、わかんない。

平野紫耀
平野紫耀
それでも、あなたは海外で挑戦したいって、、、そう思ったんだろ?



一雫、、二雫、、

紫耀の手に染み込んでいく。




平野紫耀
平野紫耀
今しか出来ない事だし、せっかくのチャンスだろ?それに、、、人生一度っきりだから。あなたには後悔して欲しくない。
あなた

でも、、、紫耀、、。

平野紫耀
平野紫耀
俺らの事は、俺らがちゃんと想ってれば大丈夫。距離に負ける程度の想いじゃないだろ?
あなた

うん、、。

平野紫耀
平野紫耀
そりゃあ寂しいからって、すぐに抱きしめてやれる距離じゃないから、、寂しい思いをいっぱいさせてしまうと思うけど、、。



あなたは首を横に振る。



平野紫耀
平野紫耀
俺はあなたの一番の理解者で、一番の応援者でありたい、、。それ以上に好きだから後悔して欲しくない。全部好きだからが前提の話し。



あなたの前で組まれていた

紫耀の手がほどかれる。




平野紫耀
平野紫耀
だから、、、。



紫耀があなたのアゴを持ち、

後ろに向かせる。



平野紫耀
平野紫耀
思いっきり羽ばたけ、、。
あなた

んっっ、、///




紫耀があなたにキスをする頃、

そこはちょうど

観覧車の頂上だった。




あなたの涙が反射し

オレンジ色に光る。




目の前に広がる海の色と同じ。






どうしたら良いか、

自分がどうしたいのか、

あなたは自分の中で

答えを探し続けていた。







プリ小説オーディオドラマ