聞き間違い?と思って
もう一度聞き直す。
彼女は笑いながら
手招きをする。
その後について行った。
オートロックが解除されると、
自動でドアが開く。
エレベーターに乗り
ある階で止まると、
彼女は降りて行った。
そして鍵を開けると
と中に通された。
ふわっと香る彼女の香りが
懐かしい気持ちと
切ない気持ちを
同時に思い出させた。
ちょうどその時に
《グゥー》っと
お腹のなる音がした。
こんなに喜んでると
好きって言っているようなもんだし
それが何だか悔しくもある。
だけど今の俺には
そんな事はどうでもよかった。
こんなに尽くしてくれる彼女のどこが
元旦那は気に入らなかったのだろう、、
これだけ気が利いて、
こんなにも優しくて、
非の打ち所がない彼女の
どこがダメだったのだろう、、
考えても考えても
答えは見つからなかった。
テーブルの上を見ると、
料理が並んでいた。
手を合わせそう言うと、
彼女の作ってくれた料理を
夢中になって食べた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!