ーーーーーあなたside
紫耀からキスをしてないのは
わかってた。
それを本人の口から聞けて
嬉しかった。
嬉しいはずなのに、
どこか胸が締め付けられる。
続きを言おうとしたとき
電話の向こうで
紫耀を呼ぶ声。
祐奈さんの声だ。
あなたは電話を切る。
これ以上
祐奈さんが紫耀を呼ぶ声を
聞きたくなくて、、、。
紫耀に当たってしまう自分も、
紫耀を信じる事が出来ない
弱い自分も、
何もかも大嫌い、、、。
ーーーーー紫耀side
あなたに強制的に電話を切られ
大きなため息をつく。
紫耀は祐奈から
タオルと水を受け取り、
廉と海人の待つ場所へ向かった。
祐奈はニコニコしながら
紫耀の後ろ姿を見ていた。
廉が言っている事は
正しかった。
昨日、喧嘩になってでも
引き止めれば良かった、、、。
大切な人を
守れていない。
それどころか、
傷つけて、泣かせて、
不安にさせて、、、。
ホントに俺、、、
何してるんだろう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。