彼女の事を抱きしめているうちに
いつの間にか眠ってしまっていた。
朝起きて隣を見ると、
彼女が居たであろう場所が
ぽっかり空いている。
クシャクシャっと髪をかき分けながら
リビングに向かう。
すると、ダイニングテーブルの上に
朝食が準備されているのが見えた。
テーブルの上に置かれた
手紙とカギ。
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海くんへ
朝ごはんは
しっかり食べて行くんだよ!
コーンフレークじゃなくて
ごめんね。
カギはポストに
入れといて下さい。
あい
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と書かれていた。
おにぎりとサラダと
目玉焼きとベーコン。
味わいながら
ゆっくり食べていた。
連絡先を聞いたのに
結局はぐらかされて
聞けてないんだった。
これは愛ちゃんの策略なのか?
なんて思ったりもした。
ふとソファーに目をやると
昨日着ていた服が
綺麗にたたまれている。
持ち上げると
ふわっと彼女と同じ匂いがした。
いつのまにか
洗濯をしてくれてたんだ、、、
1人でニヤけながら
妄想が広がる。
だけどそんなゆっくりする時間も無く、
準備を終えると急いで家を出た。
そしてスタジオに着くと、
廉がものすごい勢いで
飛びついてきた。
廉に腕を掴まれ、
引きずられるようにして
別室へと連れて行かれた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!