あなたはゆっくりと目を開けた。
起き上がろうとした時に
紫耀のパーカーが
かけられている事に
気がづいた。
顔を上げると
あなたにかけているパーカーの袖で
頬の涙を拭く紫耀。
ボーっとしながら首を横に振る。
そんなあなたを見て、
紫耀はそれ以上何も言わなかった。
紫耀にとっては
ちょうど良いパーカーも
あなたが腕を通すと
ダボダボに見えた。
リビングに行き、
冷蔵庫から水を取り
ソファーに座るあなた。
そしてポケットから
名刺を取り出した。
ダメ元で鳴らす電話。
きっとこんな遅い時間に
出るわけがない
そう思ってワンコールだけ聞くと
電話を切った。
するとすぐに折り返し
かかってきた電話。
あなたは黙ったまま。
暫く沈黙が続いた。
そんな沈黙を
マイケルが破った。
そしてあなたが1番
伝えたかった事、、、
絞り出すような声で
マイケルに伝えた。
電話の向こうで
マイケルは笑っていた。
またマイケルが笑う声が聞こえる。
あなたは何も言えなかった。
そんなあなたの表情を
読み取ったかのように
マイケルが言う。
予想外の質問に
笑いながら答えるあなた。
そう言って笑うマイケル。
そして最後に
あなたにこう言った。
そしてマイケルとの電話を切った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!