久々仕事で大きなミス。
会社では気を張っていてもっていたものの
家に帰るとそれがどっと疲れとなって
押し寄せた。
スマホの画面を見ると、
紫耀と顔を寄せ合って撮った写真が見えた。
いつ撮ったやつだっけ、、、
思い出せないぐらい会えていなかった。
心が折れそうな時に無性に会いたくなる。
会いたいと言って
会える距離じゃない事がわかってるから、
あえていつも言わなかった。
会いたい想いが通じたのか、
紫耀から電話がかかってきた。
と子どものようにはしゃぐ紫耀。
とてもじゃないけど
今はそんな気にもなれず
と上の空で返してしまい
電話の向こうに沈黙が流れた。
それでハッと気がつき話題を振った。
電話越しにも関わらず
優しい紫耀の声を聞くと
つい会いたいと口に出してしまいそうで、、
必死になってそれを隠した。
そう呟く紫耀の声はどこか寂しそうだった。
会いたいと思っていたのが
私だけじゃなかった事が嬉しくて、、
仕事でのミスなんて
どうでも良くなってしまう。
私って単純だなぁなんて思ったりもした。
ーーーーー週末・・・
私はその日仕事だった為、
バタバタ仕事を終わらせると
急いで会社を出た。
街はイルミネーションと
カップルで溢れている。
待ち合わせの場所に着いたが
紫耀はまだ来てなくて、、
行き交う人たちを眺めながら待っていると
人混みをかき分けながら
紫耀が走ってきた。
とくしゃっとした笑顔で言われ、
私もたまらず笑顔になる。
どちらともなく自然と手を繋ぐと、
人混みに背を向けて歩き出した。
顔を覗き込まれ
と言ってくる。
どんなに距離があったって、
会えない時間が長くたって、
紫耀には何でもお見通しなんだな、、
そういうところも好きだけど。
そう言う私の話しを最後まで聞いてくれて
励ましてくれる。
そんなところも好き。
もう全てが好きなんだ。
ある程度歩いて、
人もいなくて、
イルミネーションがキレイに見える場所で
ピタっと止まった。
紫耀の指差す方には
キレイなイルミネーションが
広がっていたけど、
私はそれを見る紫耀の横顔を眺めていた。
するとそれに気がついた紫耀は
と照れ笑いをしている。
かと思ったら急に真面目な表情になって
と言ってきた。
何を言ってるんだろう、、
そんな事を思っていると、
両肩を掴まれて、
向かい合わせにさせられる、、、
驚きと喜びといろんな感情が交差して
思わず涙が出てしまった。
とゴツゴツした手で涙を拭いてくれ、
ふわっと頬を包み込み、
甘く優しいキスをしてくれた。
もう一度そう言われ、
と言うと、
そっと左手を持ち上げられ
約束の証をはめてくれた。
そう言ってギュッと抱きしめてくれる。
そんな紫耀の
背中にまわした手に光る指輪は
イルミネーションに負けないぐらい
眩しかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!