バンっと勢いよくドアが開き
中から悲鳴に似た叫び声がする。
そしてドアを閉めると
すぐに真っ暗になる部屋の中。
あなたは寝ようとしていて
ベッドに座っていた。
一瞬の出来事で、
誰が入って来たのか、
何が起こっているのか、
わからないでいた。
そんな事お構いなしに、
ベッドに座っているあなたに
抱きつく紫耀。
このゴツゴツした身体つき、
フワッと香るこの匂い、
こんな人はたった1人しかいない、、、
あなたが今すぐにでも
会いたいと思っていた
愛しい人、、、。
紫耀もそう思ってくれていた事が
嬉しく思えた。
暗闇で紫耀はあなたを
ギュッと抱きしめる。
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そう言って身体を静かに離したが
両手をしっかり握ったまま、、。
暗闇で向かい合わせの状態の為、
お互いの表情は見えなかった。
本当は紫耀が帰ってきてくれて
嬉しいはずなのに、
あなたは素直にそう言えなかった。
もっとギュッと抱きしめてほしい
素直にそう言えば
紫耀はきっとそうしてくれる。
どうして素直に
なれないんだろう、、、
どこまでも可愛くないな、、、
あなたはそんな事を思っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。