紫耀は大きく空気を吸い込んで
それを思いっきり吐いた。
紫耀はあなたの方に向かって
頭を下げた。
その時にあなたは気がついた。
紫耀と祐奈は
付き合っていなかったんだと。
あの時はキスをしたというショックと
相手が祐奈さんだったことに対しての
ショックとで、
そこまで考える余裕が無かった。
それと同時に気づかされる。
祐奈があなたに
嘘をついていた事。
だけど、もう今となっては
そういう問題ではない。
pieceの存続がかかっているから。
嫌になんかなれるわけがなくて、
こんなにも好きが溢れているのに
それを言えないツラさ。
そう言われて初めて
自分の目から涙が出ている事に
気がついた。
紫耀は大きくため息をつく。
紫耀は少し後ろに手をつき、
天井を見上げている。
そんな紫耀を見るだけで
大好きが溢れてきた。
そんなに優しく
見つめないで、、、
もっと酷いことを言って
軽蔑して、、、
今から言うのは
最初で最後の嘘。
あなたのその一言を聞き、
しばらくの間
沈黙が続いた。
そして紫耀は
急にあなたの事を
ベッドに押し倒した。
目に溜まった涙が邪魔をして
紫耀の顔が見えない。
謝ろうとしたあなたの口を
紫耀がキスでふさいだ。
紫耀と何度も何度も
唇を重ねるたびに
幸せだった記憶が
よみがえってきて、、、
もうホントの事を
全部言ってしまおうか、、、
と思ってしまう。
好きだから
大好きだから
離れたくなくて、、、。
このキスが
永遠に続けばいいのに
そんな事まで思ってしまう。
目を開けると、
紫耀が真剣な顔で
見つめていた。
ポロポロと涙が
溢れては
ベッドのシーツへと
吸い込まれていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!