僕は基本、何も期待しないことにしてる。
期待したら最後。
今までの人生で学んでいた。
俺がまだ幼稚園児だった頃、父親の会社が倒産し、多額の借金を持った。
その事にショックを受けた父は、僕と母をおいて家を出た。
母は女手ひとつで僕を育てようとしたが、借金もあったため現実的に不可能。
ストレスを全て僕に当てるようになった。
おかげさまで僕の体には痣や傷だらけ。
学校にも行かず、近所の公園で一日を過ごし、自殺行為なんて日常茶飯事だった。
自分の人生にはもう、期待なんかしていない。
願わくばこのまま死んでしまいたい。
16歳になってすぐに母が一人で夜逃げした。僕を残して。
僕が邪魔だったのだろう。
僕は多額の借金を背負っている。
返せるわけないだろ、こんなん。
そんな時、家に強面の男の人達が五人ほど来た。
壁に叩きつけられる。
ガシッ
内臓売るとかじゃなくて、僕は普通に死にたい。
誰かに殺してほしい。
だから、どうせなら、僕を殺してから内臓を売って欲しかった。
その時、若い顔の整った男性が入ってきて、僕をつかんでいた奴を僕から離した。
...は?なに言ってんだろう、この人。
僕の借金は1000万近くあるんだぞ?
その人がニコッと微笑む。
そういうことで、僕はヤクザの家に行くことになった。
ー続くー
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!