なんだよ...
あなたのやつ、デートのことばっか。
部活に行く途中、教室に忘れ物をしたことに気づき廊下を歩いてる時だった。
今日のあなたは伊野尾先輩のことしか考えてないし。
中学のときはお互いにプレゼント交換とかしてたな...
なんか今、無性に中学の頃に戻りたい。
こんなことアイツには言えないけど
実際、あんな女好き野郎よりも
俺の方がずっとずっと.....
そのとき
たまたま3年の教室を通りかかろうとしたときに見えた伊野尾と女。
すぐに、物陰に隠れて二人を観察する。
あれ、あなたじゃない。
だとしたら...
どういうことだよ...
あなたのことなんだと思ってんだよ...
確かに、さっきのあなた悲しそうな顔で
「伊野尾先輩、今日も一緒に帰れないんだって」
って言ってた。
全部このためかよ...
...〜っ!
本当は、今すぐにでも伊野尾を殴りたかった。
でも、足を踏み出せないのは...
『土曜日楽しみだなぁ...』
『このクリスマスツリーで待ち合わせしてるの!』
楽しそうに話してにるあなたの笑顔が
頭をよぎったから。
俺のやろうとしていることが、アイツの楽しみをぶち壊そうとしている。
そう考えると何も出来なかった。
情けない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。