第21話

突然の来客
4,264
2020/09/28 11:20
樹side

岩谷翔吾
岩谷翔吾
そーちょー!総長にお客さんが来てますよ!!
翔吾の声がする。


俺に客?


誰だよ、めんどくさい。
藤原樹
藤原樹
どこの族の奴だか知らんが、同盟なら壱馬を通せって言っとけ〜!
そういうのは全部、壱馬の担当だ。
岩谷翔吾
岩谷翔吾
いや、違うんすよ。女が来てるんすよ。なんか総長に用事があるって
はぁ?


女?
藤原樹
藤原樹
どうでもいい。俺は今、女に興味ないから追い出しといて
最近は、面白い奴が増えたからな……あの女で十分だ。


今日もこの後家で幹部で集まるが……。


アイツも加わらせてやろう。


無理矢理。






「えっ、総長。女に興味ないなんて……もしかしてあっちに興味が……いでっ」






俺は目の前にいた奴を軽く叩いた。


アホか。


男になんてさらに興味ねぇよ。






「えっでも、女に興味ないって」



藤原樹
藤原樹
お前それ以上言うと、ババがどれか、みんなに言うぞ


「えっ?総長、ババの場所わかってるんですか!?」


藤原樹
藤原樹
俺の洞察力なめんな
……そう、今はトランプでババ抜き中。


だから、忙しい。


無理、女なら帰れ。


それか北人に相手してもらえ。
岩谷翔吾
岩谷翔吾
今、総長は手が離せないって言ったら、伝言を頼まれたんですけど……
藤原樹
藤原樹
あ〜?めんどくさい。お前メアドとか預かってきたんじゃねぇよな?
岩谷翔吾
岩谷翔吾
あ、預かりました
はぁ!?


まじかよ。


何ちゃっかりメアドなんか預かってんだよ。


めんどくせぇ。


マジで今間に合ってるから。
岩谷翔吾
岩谷翔吾
えっと……絶対に伝えろって言われたんで、言いますよ?
なんだその、絶対って。
藤原樹
藤原樹
勝手にしろ
岩谷翔吾
岩谷翔吾
これが不思議なんですが……
不思議?


俺はババ抜きの途中だったが、翔吾に向き直った。
岩谷翔吾
岩谷翔吾
ジャガイモ、だそうです
藤原樹
藤原樹
はぁ?
俺の口からマヌケな声が出る。


だって仕方ねぇじゃん。


ジャガイモってなんだよ。
岩谷翔吾
岩谷翔吾
ジャガイモ、買ってきてね。って言われたもんで……すみません
なぜか謝る翔吾。


ジャガイモ……じゃが……。


あっ!!
藤原樹
藤原樹
おい!!その女どんな奴だった!?
俺の中には1人の候補が浮かんだ。


あとはその女と、そいつの特徴が一致すれば……。
岩谷翔吾
岩谷翔吾
ん〜と、そうですね、真っ黒の髪に、あっ、どこかのバイトなのか、黒いエプロンつけてましたよ!
真っ黒な髪。


黒いエプロン。
藤原樹
藤原樹
やっぱアイツか!
俺はトランプを放り出して立ち上がる。




「え?え?知り合いですか?」


藤原樹
藤原樹
あぁ。おい、翔吾。そのメアドが書かれた紙よこせ
俺はその紙を持って、駆け足で倉庫を出た。
藤原樹
藤原樹
ジャガイモ、って……。あ〜もう、名前言ったらきづいたのに
メアドの書かれた紙にはご丁寧に電話番号も書いてあった。


その下には伝言をしなかった時のためか、しつこいくらいにジャガイモと書かれていて、


【遅くならないように】


とも書かれていた。


俺はその紙に書かれている電話番号に急いでかける。


プルルルルルと、なる無機質な音。


少しイライラしていた。


なんでアイツ、黙って倉庫に来たんだよ。


なんで名前を言ってこれのとこに来てくれないんだよ。
藤原樹
藤原樹
ヤンキー嫌いなのに、大丈夫なのかよ
俺の呟きは、誰にも聞こえていない。

プリ小説オーディオドラマ