第49話

恋人始めました
4,603
2020/10/31 09:49
藤原樹
藤原樹
お前、本当にいいのかよ、俺で
触れるだけのキスをしたあと、私たちはようやく灯りをつけ、2人でベッドに腰掛けていた。
倉木(なまえ)
倉木あなた
俺で、とはどういう?
藤原樹
藤原樹
だってお前、ヤンキー嫌いだろ
倉木(なまえ)
倉木あなた
大嫌い
藤原樹
藤原樹
即答かよ
倉木(なまえ)
倉木あなた
でも……
なんだかんだ私も樹も言っていない言葉。


私が、先に言っちゃうからね。
倉木(なまえ)
倉木あなた
樹は好き
大好き。
藤原樹
藤原樹
うわっ、破壊力半端ねぇ。やめろ、あなた。あっち向け
倉木(なまえ)
倉木あなた
かわいくて半端ないの?まさかとは思うけど、メスゴリラの告白が破壊力半端ないの?
藤原樹
藤原樹
後者に決まってんだろ
倉木(なまえ)
倉木あなた
あれ、私、樹に告白されたよね?あれ?キミの彼女はメスゴリラなの?は?
藤原樹
藤原樹
俺の彼女、メスゴリラだから
マジか……彼女になってもゴリラとか言うの!?


でも、やっぱり楽しい。


恋人になっても、私たちはあまり変わらないね。
倉木(なまえ)
倉木あなた
メスゴリラと腹黒で俺様な総長のカップルなんて……ふざけすぎだよ?
藤原樹
藤原樹
それな
倉木(なまえ)
倉木あなた
それな、って返されるとなんか簡易的でイヤだ
藤原樹
藤原樹
どんな会話にでも返せちまうから、『それな』って言葉はすげぇよなぁ
倉木(なまえ)
倉木あなた
それな
藤原樹
藤原樹
おい、あなた……さっきイヤって言ってたじゃねぇか
倉木(なまえ)
倉木あなた
それな
藤原樹
藤原樹
腹立つなぁ、お前〜〜!!
付き合いたてのカップルって、もっとイチャコラするもんだと思ってたけど、こういうのもいいかなって思う。
藤原樹
藤原樹
なぁあなた
倉木(なまえ)
倉木あなた
ん〜?何
樹の声に振り向いた瞬間、


チュッと音を立てたキスが返ってきた。
倉木(なまえ)
倉木あなた
……〜〜っ!!不意打ち禁止!!
藤原樹
藤原樹
あなたが、それなって使うたび罰ゲームでするから
ふぅむ。


それなって言うとキスか……。


それなら……。
倉木(なまえ)
倉木あなた
ねぇ樹、RAMPAGEって樹にとってどんなところ?
藤原樹
藤原樹
なんだよいきなり……いいところ、最高の場所
倉木(なまえ)
倉木あなた
それな
藤原樹
藤原樹
え……?
ふふふ、さっそく『それな』って言ったよ?
倉木(なまえ)
倉木あなた
樹、罰ゲーム。ないの?
そう言って笑ってやると、顔を真っ赤にしている樹。


あれ……?


つまり私は今、キスねだっちゃったわけ!?


気づいて真っ赤になる私を見て、樹も笑った。
藤原樹
藤原樹
小悪魔なのかなんなんだか。天然なの?お前
樹はそう言うと、私にまた触れるだけのキスをした。
倉木(なまえ)
倉木あなた
樹、あのね
私、本当は樹に言わないつもりのことがあった。


けど、その時はまだこの気持ちに気づいてなくて。
倉木(なまえ)
倉木あなた
私さ、お母さんが死んでるの
それが、ヤンキーのせいだってこと。


それが理由で嫌いだってこと。


言わなくちゃ。
倉木(なまえ)
倉木あなた
そのこと自体は遠回しに言ってたと思うけど、お母さんが死んだのって、ヤンキーに殺されたからなんだ
私がそう言うと、樹は目を見開いた。


けどそれと同時に、やっぱりそういう理由があったんだな、と視線を落とした。
倉木(なまえ)
倉木あなた
だから
ヤンキーは嫌いだし、これからも好きになるつもりはない。だけど、樹たちやRAMPAGEは好き。それは信じてほしい
藤原樹
藤原樹
……あなたは、本当にいいのか……?
倉木(なまえ)
倉木あなた
信じてないでしょ?……大切なものを奪われちゃったけど、奪ったのはみんなじゃないもん。だから、大丈夫
少し、お母さんのことを思い出した。


1粒、また1粒と涙が落ちる。


それに気づいた樹は、指でそっと私の涙をすくうと、そのまま私を抱きしめた。
藤原樹
藤原樹
……守ってやるよ。お前も、お前の大切なものも。全部、俺が守ってやるよ
倉木(なまえ)
倉木あなた
うん……っ
樹のその言葉が、


私を、ものすごく安心させた。


樹は私を、守ってくれる。


大切なものも、全部全部。


だけどそれじゃ、私の大切なものはすべては守れない。
倉木(なまえ)
倉木あなた
樹は、私が守るからねっ
何も、できないけど。
藤原樹
藤原樹
あなたは、強いな
樹脳での中はあたたかくて、心地よくて。


ずっとこのままでいたい。


心の底から、そう思った。

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