第48話

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2020/10/30 09:52
倉木(なまえ)
倉木あなた
ただいま〜って、あれ?
あれから、午後の授業もまともに受けられなかった。


その原因である樹の靴が、なぜかもうある。


私、学校が終わってそのまますぐに帰ってきたのに。
倉木(なまえ)
倉木あなた
樹……?
珍しい。


というか、サボった?


悪い奴だなぁ……。


しかしリビングには、昨日頼んだ野菜が買ってきてある。


いい人なのか悪い人なのか。
倉木(なまえ)
倉木あなた
樹ぃ〜?帰ってるの〜?
ちょっと心配。


私は階段を上りながら声をかけ続ける。


けど返事はない。


そのまま、樹の部屋の前まで来てしまった。
倉木(なまえ)
倉木あなた
……っ、居留守?樹のバカ
私が午後から、どんなに悩んだか知らないくせに。


バーカバーカ。


私はノックもせず、樹の部屋のドアを開けた。
倉木(なまえ)
倉木あなた
樹……?
勝手に入るのは悪い気がするけど、いつも勝手に入られてるし、気にしない気にしない。


部屋は暗い。


真っ暗ではないけど……。


寝てるのかな?


けど、すぐ見つけた。


ベッドに横たわる、樹を。


そっと樹に近づいてみる。
倉木(なまえ)
倉木あなた
樹どうしたの……?具合悪いの?
やっぱり寝てる……?
倉木(なまえ)
倉木あなた
いつ……きゃっ
いきなり手を掴まれて、グイッと引かれる。


突然のことに抵抗する間もなく、私の体は引かれた手の方向にそのまま倒れ込む。


バフっと背中にベッドの柔らかさを感じる。


目を開くと、
倉木(なまえ)
倉木あなた
樹……っ
樹がいる。


私……押し倒された?


樹も、いつもの樹じゃない。
倉木(なまえ)
倉木あなた
樹……?どうしたの?
片方の手は私の顔の横についていて、もう片方は私の頭を撫でている。


確かに見た事ない樹だし、少し怖いけど、私の頭を撫でている樹の手はいつもと変わらない。
藤原樹
藤原樹
なぁあなた、お前さ、前も言ったけど、危機感とかないのかよ?
倉木(なまえ)
倉木あなた
……ないよ。樹だもん
樹だから。


危機感なんてない。
藤原樹
藤原樹
結局、俺は……あなたにとってそういう存在なんだよな
……どういう、こと?
藤原樹
藤原樹
あなたなんて、もう知らねぇ
樹は私の頭を撫でていた手を、そっと頬、唇へと移動してきた。
倉木(なまえ)
倉木あなた
い、樹……何やって……っ
熱くなった体のせいで、ベッドが冷たく感じる。


樹の体重も少しかかってくる。


暗くて、樹の顔がよく見えない。
藤原樹
藤原樹
……っ俺は、警戒しろってあなたに言ったんだからな。キスされても……文句言うなよ
その瞬間、樹の顔がはっきり見えた。


部屋が明るくなったとかじゃなくて、樹の顔が目の前にあるからだ。


だけど、
倉木(なまえ)
倉木あなた
……キス、するんじゃないの?
まだ寸止めだ。


動いたら、唇と唇はくっつきそうな距離だけど、


樹は文句言うなよとか言ったくせに、キスしてこない。
藤原樹
藤原樹
キスしたら、あなたに口を聞いてもらえなそう。もう遅いかもしれねぇけど
倉木(なまえ)
倉木あなた
別に、そんなことしない
藤原樹
藤原樹
は……?
倉木(なまえ)
倉木あなた
文句も言わないけど
私も樹もバカな気がする。


自惚れじゃなければ、樹も私も、きっと同じだ。
藤原樹
藤原樹
……あなたは、俺のことどう思ってんの。なんでそんなこと言うんだよ
私の心臓は鳴り止まないし、ここで冗談を言う余裕もまったくない。
倉木(なまえ)
倉木あなた
……弱気だね、樹のくせに
藤原樹
藤原樹
人生かかってんだよ、お前の気持ちに
何それ。人生なんて大げさすぎ。
藤原樹
藤原樹
で、どうなの?あなた
倉木(なまえ)
倉木あなた
バーカ
藤原樹
藤原樹
バカぁ?
私は両手で樹のほっぺたをペチンッと挟んだ。
倉木(なまえ)
倉木あなた
俺様ヤンキーなんだから、いつも通り拒否権ないから、とか言ってみなさいよ。バカ総長
どう頑張っても、この口の悪さは直らない。


けど、これが今の私の精一杯だ。


気づきたての気持ちを、まだ言葉にできないから。


私の言葉に、樹はフッと笑った。
藤原樹
藤原樹
そうだな、なんかお前らしくて安心した
私らしいって何よ。


樹は私の顎をクイッと引くと、ニヤリと微笑んだ。
藤原樹
藤原樹
……あなた、俺のもんになれよ。逃がすつもりなんてねぇけどな
樹らしい、腹黒で俺様な総長っぽい告白。
倉木(なまえ)
倉木あなた
……はいはい
逃げるわけ、ないよ……。
藤原樹
藤原樹
はい、は1回だろ





樹はそう言って、私の唇をふさいだ。

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