第15話

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2020/09/21 04:12
藤原樹
藤原樹
さぁ、お前の部屋探そうぜ
あ、そっか。


空き部屋ないはずなのに3階って言われたから、探さなきゃなのか……。
藤原樹
藤原樹
わかるって言ってたけど……部屋にお前の荷物が置いてあるとか?
倉木(なまえ)
倉木あなた
ううん、私の荷物は下に置いてるダンボール2個だけだから違うと思う。
藤原樹
藤原樹
3階には、4つ部屋があるんだ。1つは俺の部屋、1つは両親の部屋、あと、物置と俺らの……
倉木(なまえ)
倉木あなた
物置じゃない?
藤原樹
藤原樹
いや、あそこは物が多すぎて、片付けしたとしても人が1人過ごせるスペースはない
じゃあ……ないよね?


まさか廊下で!?


……いや、まて?
倉木(なまえ)
倉木あなた
4つ目……俺らの、何?
俺らって、おそらくRAMPAGEのことかな?


RAMPAGEの……なんだろ?
藤原樹
藤原樹
俺らの、幹部室……
倉木(なまえ)
倉木あなた
なにそれ
藤原樹
藤原樹
その名の通り、RAMPAGEの幹部が集まる部屋だ
藤原樹
藤原樹
普通、事務所かなんかは豪華なんだろうけど、それは大人の組の奴らの話。俺らは学生だし、普段は学校の他に仲間の兄貴が持ってる空き倉庫をたまり場にしてるんだ
空き倉庫って……。


それ、使っていいわけ?


ダメだろ……。
藤原樹
藤原樹
割といいところだぜ。設備も整ってるし、電気と水道も通ってるしな
藤原樹
藤原樹
しかも、この家の裏だから近くていいんだよなぁ
は?


この裏に?


RAMPAGEのたまり場があるの!?


うわぁ、勘弁して欲しい。


まぁとりあえず、そのたまり場とこの家の3階にある幹部室も、RAMPAGEの場所?縄張り?なのかな。


とにかく近づきたくない。
藤原樹
藤原樹
お前が、俺らに関わりたくないって言っても、どうなるか分からないからな?だから、俺はお前と同居するのは問題ないからいつまでも居座っていいぞ
倉木(なまえ)
倉木あなた
そんなの、ありえないって……
そんな話をしながら廊下を歩いてると、
倉木(なまえ)
倉木あなた
あ……っ
見つけた。


私の部屋。


なんでわかったって?


部屋の扉を思いっきりメルヘンにデコレーションされてるんだよ……。


あぁ、この部屋が私の部屋だ。
倉木(なまえ)
倉木あなた
ねぇ、樹ここじゃない……?って、あれ?
私はその部屋をさしながら樹に尋ねたけど……なぜか樹は目を丸くして放心状態。


そしてら徐々に……。
倉木(なまえ)
倉木あなた
な、なんで怒るの!?
眉間にシワが寄っていった。


いや、ただでさえイカついオーラを放っているからやめよう!?


樹は存在がもう恐ろしいからさ……。


殺気だけで、人が腰を抜かすくらいのことはできるんじゃないの?


それくらいオーラがすごい樹が、なんでいきなり不機嫌になるの。
藤原樹
藤原樹
……おい、あなた……
倉木(なまえ)
倉木あなた
な、何……
迫力のある声。


ていうか、なぜ怒ってる。


樹はうつむいたまま、重たい口を開いた。
藤原樹
藤原樹
中、確認してくる
ん?


確認って?


私の部屋じゃないの?


涼子さんは空き部屋って言ってたし。


あ、でも樹はそんなのないって言ってたっけ?


いったいどうなってんの?


樹はドアノブに手をかけると、深呼吸をしてからそっとそのドアを押した。


って、おい!


なんで我が家の部屋を開けるのに、そんな深呼吸とかしてるの!?


まさか……。


開かずの間とか言うやつなんじゃ……?
倉木(なまえ)
倉木あなた
わわわっ!ちょっとまって!のろわれる!!
藤原樹
藤原樹
お前何言ってんの
倉木(なまえ)
倉木あなた
……なんかごめん。で、早く中を確認してよ
藤原樹
藤原樹
チッ。わかってるよ
うるさい……と、樹の目が言ってる。


中の何を確認するのか知らないけど、樹にとって重要なことなんだろうなぁ……。


そう思って廊下でまっていると、沈んだ表情の樹がでてきた。


……樹って意外とわかりやすいな。
藤原樹
藤原樹
あのさ、お前用としてあてがわれたあの部屋、あれ、幹部室だったんだけど
倉木(なまえ)
倉木あなた
……は!?
倉木(なまえ)
倉木あなた
てことは、涼子さん、暴走族のたまり場を私の部屋として提供したわけ?
藤原樹
藤原樹
だな
倉木(なまえ)
倉木あなた
嘘でしょ
藤原樹
藤原樹
見たところ、家具はそのままだったけど……。いろいろなくなってた。
はいはい、わかりますよー。


さっき言ってたアレですね、アレ。


えっ、何かって?


エロ本に決まってるじゃないか。
藤原樹
藤原樹
逆に余計なものが増えてた
倉木(なまえ)
倉木あなた
余計なもの……?
藤原樹
藤原樹
お前の机とか、タンスとか。あと、なんかカーテンとか変わってる
樹は眉間にシワを寄せながら、再び部屋へと入っていく。


私も、樹の後を追うように続く。
倉木(なまえ)
倉木あなた
うひゃあ……
そこは、とても広くて明るい、可愛い部屋だった。


樹の部屋の3倍くらいある。


カーテンはピンク。


女の子らしい部屋。


また別にテーブルと、ソファと、テレビと……。


リビングみたいな感じの場所だ。
倉木(なまえ)
倉木あなた
私、この部屋使っちゃっていいの?
樹たちのたまり場がなくなっちゃうし。


樹と涼子さんには言ってないけど、私もうアパートを明け渡してるから、ここを追い出されたらホームレスなんだよね……。


だから、出ていくのだけは勘弁だよ。
藤原樹
藤原樹
まぁいいんじゃね?
倉木(なまえ)
倉木あなた
何が?
藤原樹
藤原樹
お前、ここ使えよ
倉木(なまえ)
倉木あなた
あ、いいの?
藤原樹
藤原樹
いいんじゃね?仕方ねぇよ。母さん、言い出したらきかねぇし
それは確かに……。


幹部室、他で探すのかな?


申し訳ない……。


そして、私は樹に手を差し出した。
倉木(なまえ)
倉木あなた
部屋ありがとう。これから、よろしくね。何から何まで、お世話になっちゃうね
私がそう言うと、すごく驚いた顔をした樹。


だけど、またいつもの不敵な笑みを浮かべながら、
藤原樹
藤原樹
私の手を握った。

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