あ、そっか。
空き部屋ないはずなのに3階って言われたから、探さなきゃなのか……。
じゃあ……ないよね?
まさか廊下で!?
……いや、まて?
俺らって、おそらくRAMPAGEのことかな?
RAMPAGEの……なんだろ?
空き倉庫って……。
それ、使っていいわけ?
ダメだろ……。
は?
この裏に?
RAMPAGEのたまり場があるの!?
うわぁ、勘弁して欲しい。
まぁとりあえず、そのたまり場とこの家の3階にある幹部室も、RAMPAGEの場所?縄張り?なのかな。
とにかく近づきたくない。
そんな話をしながら廊下を歩いてると、
見つけた。
私の部屋。
なんでわかったって?
部屋の扉を思いっきりメルヘンにデコレーションされてるんだよ……。
あぁ、この部屋が私の部屋だ。
私はその部屋をさしながら樹に尋ねたけど……なぜか樹は目を丸くして放心状態。
そしてら徐々に……。
眉間にシワが寄っていった。
いや、ただでさえイカついオーラを放っているからやめよう!?
樹は存在がもう恐ろしいからさ……。
殺気だけで、人が腰を抜かすくらいのことはできるんじゃないの?
それくらいオーラがすごい樹が、なんでいきなり不機嫌になるの。
迫力のある声。
ていうか、なぜ怒ってる。
樹はうつむいたまま、重たい口を開いた。
ん?
確認って?
私の部屋じゃないの?
涼子さんは空き部屋って言ってたし。
あ、でも樹はそんなのないって言ってたっけ?
いったいどうなってんの?
樹はドアノブに手をかけると、深呼吸をしてからそっとそのドアを押した。
って、おい!
なんで我が家の部屋を開けるのに、そんな深呼吸とかしてるの!?
まさか……。
開かずの間とか言うやつなんじゃ……?
うるさい……と、樹の目が言ってる。
中の何を確認するのか知らないけど、樹にとって重要なことなんだろうなぁ……。
そう思って廊下でまっていると、沈んだ表情の樹がでてきた。
……樹って意外とわかりやすいな。
はいはい、わかりますよー。
さっき言ってたアレですね、アレ。
えっ、何かって?
エロ本に決まってるじゃないか。
樹は眉間にシワを寄せながら、再び部屋へと入っていく。
私も、樹の後を追うように続く。
そこは、とても広くて明るい、可愛い部屋だった。
樹の部屋の3倍くらいある。
カーテンはピンク。
女の子らしい部屋。
また別にテーブルと、ソファと、テレビと……。
リビングみたいな感じの場所だ。
樹たちのたまり場がなくなっちゃうし。
樹と涼子さんには言ってないけど、私もうアパートを明け渡してるから、ここを追い出されたらホームレスなんだよね……。
だから、出ていくのだけは勘弁だよ。
それは確かに……。
幹部室、他で探すのかな?
申し訳ない……。
そして、私は樹に手を差し出した。
私がそう言うと、すごく驚いた顔をした樹。
だけど、またいつもの不敵な笑みを浮かべながら、
私の手を握った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!