階段を上がって一番遠くの部屋。
そこは私の部屋のはずなのに、
いや待て。
北人の発言は確かに正論だ。
だけど、翔平の今の言い方、なんか捨てられた子みたいだ。
笑っちゃう。
いや、もうほんとに。
遊びたいなら樹の部屋に行けばいいし、狭いならリビングに行けばいい。
引き下がらない樹。
RAMPAGEのみんなも動きたくないのだろう。
樹はすごい勢いで睨みつけてくるけど、何。
意味?
そんなの、とくにないよ。
さっきのこと、みんなはどこまで慎に聞いたんだろう。
……まぁ、関係ないか。
私がRAMPAGEをどう思ってるかなんて、みんな知ってる事だしね。
暴走族じゃなかったら……、私はあの輪になんの気兼ねもなく入れたんだろうか。
眠かったのに少しモヤモヤとして、その日はなかなか寝つけなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。