陸くんを好きか、RAMPAGEを好きか……。
私は樹の部屋を出て、制服も着替えずに自分のベッドにダイブしていた。
……灯り、まぶしいな。
陸くんはいい人だと思うし、あの学校で唯一まともな人だし。
仲良くなりたいと思う。
もっと話したいと思う。
……けど、好きかって言われると、まだあったばかりだしよく分からない。
……なら、RAMPAGEが好きってこと?
正直、最近の私の気持ちは、これに近い。
RAMPAGEは楽しくて、みんな私に優しく接してくれて。
警察に追いかけられたりもしたけど、たくさん笑った。
笑いあった。
もう、
そんな気持ちと同時に、樹とバイクに乗ったこと、買い物に行ったこと、たまり場でバカやったこと。
私のRAMPAGEとの思い出全部の中心に樹がいて。
部屋に勝手に入ってきて毎日言い合いになること、それも少し楽しいと思っていること。
私が元気ない時に真っ先に気づいてくれたこと。
最近の私の生活は、全部樹だらけだ。
大嫌いだったヤンキーが、なぜかこんなにも居心地のいい存在になってるなんて。
でも、そう気づいたのと同時に、お母さんのことが思い出された。
私の中でヤンキーが嫌いという気持ちも消えないし、
彼らのことを大切という気持ちも消えない。
樹への気持ちは……、気づきかけのまま忘れられるだろうか。
樹と話したことで確実に答えはでた。
それでも、認めたくない気持ちが強くて、頭の中がパンクしそうだ。
RAMPAGEのことが好き?
嫌い?
樹のことは……?
自分の中で気持ちがケンカしている。
寝て起きたら全て忘れて、解決する気がした。
そんなわけないってわかってるけど。
帰ってきた格好のまま、ベッドに潜り込む。
時間も時間だし眠れるわけがないんだけど、今の私には寝転ぶ以外、なにもできない気がした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。