第8話

7話
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2021/02/27 13:35
《あなたside》
駿佑本人には恋愛事情を聞けないまま数日経った。



放課後、帰ろうと思って歩いてた時、どこからか聞こえてきた声

「駿佑くんってさ、あの双子の子と2人暮らしなんでしょ?」

「らしいね。双子だからってワンチャン狙ってるんじゃね?」

「ほんとは血繋がってなかったりして笑」

「それで2人暮らしだったら普通に引くわー」


図星だった。
気にしなければいい。ただの噂話だ。
でも、私の駿佑への気持ちは他人からはあんな風に見えるんだと思うと頭から離れない。
どうしよう…涙が溢れ出てくる。
駿佑の前では泣かない。駿佑に涙は見せない。
それは私が自分で決めた。心配かけたくないから。


『こんな顔で帰れない…』



泣きながら歩いてたら、ぽつぽつと雨が降ってきた。
そういえば今日、夕方から雨だっけ
傘、学校に忘れてきちゃった。
でもちょうどいい。雨に濡れれば涙は分からなくなる。


『駿佑、好きだよ…なんで弟なの…』
『なんで…』

私の声は雨の音でかき消されていく。
私の想いも消さないといけないのかな。



謙杜「あなたちゃん!?」
『え、、』
謙杜「ちょっ、傘は?めっちゃ濡れてんじゃん…」
『傘学校に忘れてきちゃって笑』


作り笑顔、バレたかな?
いや…気づかないよね
私の事、そんなに見てくれる人なんていない。



『長尾くんが濡れちゃうよ。私は大丈夫だから、また明日』
謙杜「俺はいいよ。てかあなたちゃん、大丈夫?」
『…なにが?』
謙杜「泣いてたの?なんかあった?」
『え、、』




なんで、分かったんだろう。


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