廉side
俺は海人のことが好きだ。
ずっと前から、海人のことが気になって、
気づいた頃には恋していた。
でも、ある日俺は勝手に失恋した。
半年前…
海人からご飯に誘われたことがすごく嬉しくて、表情筋が緩むのが自分でもわかる。
俺、キモイな、笑
雑誌の撮影も終わり、ご飯屋さんに着く。
個室に入り2人で机を挟んで座った。
すると海人がすごく真面目そうな顔で話してきた。
なにそれ、期待しちゃうやん。
でも、絶対違う。
なんか、聞いたらあかん気がした。
これ以上、何も。
でも、俺の脳と口は繋がっていないのか思っていることと真逆の言葉が出る。
ほら、
こんなんやったらご飯なんて来なけりゃ良かった。
分かってた。
海人の目に俺が映ってないってこと。
いつも海人の目線の先には紫耀がおって。
紫耀に適うことは多分ない。
でもさ、諦めたくないんだよ。
とりあえずは、海人の幸せが一番だから。
応援するね?
いつかは紫耀から奪うけどね、
そう言ってその日は2人で飲んだ。
きっと俺はこれから辛い思いするだろうな。
って思ったのが半年前。
今はこのとおり、海人は紫耀にデレデレだし、
紫耀は海人を抱きしめながらチラチラ俺の方見てきて、
なに?煽ってるん?
紫耀になんか負けへんから。
どうせ今日も、海人と飲みに行って紫耀のこと聞かされて、悲しくなるだけなんだろうけど。
それでも諦めきれないのは、きっと、それほど海人のことが好きってこと。
絶対に諦めないから。
to be continued
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。