第31話

自分らしくいるために(チョウ・ツウィ)
933
2023/07/05 07:44
私、チョウ・ツウィ18歳の高校3年生
これは今から5年前(中学2年生)の私のお話なんだけど....




当時の私はどうやらみんなから嫌われてたらしい
ツウィ
ツウィ
なんで嫌いな子の前で笑顔でいるの?
ツウィ
ツウィ
嫌いなら嫌いってはっきり言えばいいのに
まぁ、こんな感じの性格がその原因のひとつらしい



元々小さい時から周りから少し変わっていると大人からも先生からも友達からも言われていた
でもさ、私から言えば「何が?」って思う



思ったことをただ口にしてるだけだし


陰で言えば陰口になるけど面と向かってその子に言ってあげればその事ためにもなるし陰口にもならない



好きな食べ物だって好きなことだって自分が好きなんだからそれでいいじゃないか


それで誰かに迷惑をかける訳でもない
なのに
先生
どうしてあなたは普通に出来ないの?
先生
周りの子はちゃんとできてるのよ
いつかは思い出せないけど、学校のホームルームの時担任の先生がそう言ってきた






普通って何?



私が私でいることがおかしいってことなの?
ツウィ
ツウィ
余計なお世話ですよ?
その時からだったかな、みんなが私への態度が変わったのは





















ツウィ
ツウィ
おはようー
クラスメートA
きたきたww
クラスメートB
やっちゃえやっちゃえww
ーバシャ🪣!!ー
ツウィ
ツウィ
キャ!
クラスメートA
やっば!命中したww
クラスメートB
逃げろ逃げろw
クラスに入った瞬間クラスメートから水をかけられた
今思うとドラマの見すぎかと思うほどありきたりの嫌がらせ
ツウィ
ツウィ
.....
でもそんなの私には関係ない
私は濡れた制服を着替えようと席から運動着袋を取り教室を出ようとした

そしたらドアの近くにいた男子たちが
男子A
何行こうとしてんだよっ
ちゃんとここ拭いてけよ
男子B
お前のせいで汚れたんだろ
そういってきた、けど
ツウィ
ツウィ
ツウィ
ツウィ
なんで?なんで私が拭かなきゃいけないの?汚したのはあのこたちじゃん
男子A
はぁ?
何変なこと言ってんだよっ、いいから早く拭けよ。じゃなきゃ俺らが困るんだよ
ツウィ
ツウィ
......あなたたちが困っても私は困らないよ?
男子B
ツッ!
ーパチン!ー
それと同時にビンタが私のほっぺに激しく当たった



あまりに強かったため私は机にぶつかってしまってそのまま意識が無くなった













ツウィ
ツウィ
......
再び身を覚ました時私は保健室のベットの上にいた
保健室の先生
あら、起きたのね
保健室の先生
ほっぺた叩かれたみたいだけど...どう?
そう心配そうに言ってきてくれたけど
ツウィ
ツウィ
どうしてこんなに腫れてるのに、何もしてくれてないんですか?
ツウィ
ツウィ
普通だったら氷水とかで冷やしますよね?
私は思ったことをまんま口にした
保健室の先生
え、あ....ええ
保健室の先生も、一瞬で心配の顔が少し不満そうな顔つきになった
保健室の先生
一応氷水渡しておくから....なんかあったらまた来てね
早口でそう言うと私を追い出すかのように部屋のドアを閉めた




ツウィ
ツウィ
.....
私は殴られたほっぺを触りながら階段を上がり教室のドアを開けると



教室にいる全員がいっせいに私のところを見てきた


別に、ここで教室に入らない訳にもいかないから教室に入り自分の先のところに行こうとした



けど.....

ツウィ
ツウィ
ない...
本来私の席が置いてあるところに私の席がなかった
周りでは私の姿を見てコソコソと話している人もいれば笑ってる人もいた
ツウィ
ツウィ
...何笑ってるの
ツウィ
ツウィ
私の机ないんだけど
横目でそう言うと
クラスメートB
あっれー?おかしいなぁ
もしかして足が生えてどっか行っちゃったとか?www
クラスメートA
ツウィちゃんの机はいやですぅー!
こんなおかしい人には座られたくないですぅーってwww
ツウィ
ツウィ
....馬鹿なの?
足なんて生えるわけないじゃん
クラスメートB
はぁ?
先生
皆さん気についてくださーい
授業始めますよ
クラスメートA
はーい
ツウィ
ツウィ
先生、私の机ないんですけど
先生
あらそう?
1回の作業室に予備の机があるから貰ってきたら?
それでは教科書25ページを開いてください
先生はまるで私がいないかのように接した
ツウィ
ツウィ
......
周りのみんなもその姿にクスクスと声を出しながら笑っていた


























この時初めて人間が「気持ち悪い」そう思った
今まで周りから変わってるとかおかしいんだねって散々言われてきて、それでも私は私だしそれが悪いだなんて思ったこともないし気にしても来なかった



けど
クラスメートA
wwww
クラスメートB
wwwww
男子B
やっばw
男子A
あいつ終わったなww
ツウィ
ツウィ
.....気持ち悪る
人が化け物に見えた









そっから私は学校に行けなくなった
来年は高校の受験も控えているというのに一日中部屋に引きこもってずっと本やビデオを見て「普通」について調べていた
自分自身でいることが普通じゃないならそれ以外に何があるの


私はひたすらそのことについて調べた






























けど
ツウィ
ツウィ
全然見つからない
気づけば私は中学三年生になっていた



学校に行かなくなってから半年間


一向に答えは見つからずただただ時間だけがすぎていた
ツウィ
ツウィ
........
何の気なしにふと


ツウィ
ツウィ
散歩でも行こうかな
外の空気に触れたくなった




あれからあまり外に出ていなかったせいか玄関から1歩歩いただけでも少し足が震えた



それでもせっかく外に出たのだからと思い



ゆっくりゆっくりと1歩ずつ歩いていると



学校まだ来ていた
ツウィ
ツウィ
........
別にもう何も怖くない


あの時の気持ちはもうない


けど、分からなくなってしまった



なぜ学校に行かなくてはならないのか、なぜ普通にしてなくてはならないのか



なぜ私は生きているのか?


私が生きてる意味って一体?
ツウィ
ツウィ
本当の私じゃダメなのかな
 チェヨン
チェヨン
それ以外、何がある?
ツウィ
ツウィ
....だれ
 チェヨン
チェヨン
.......チェヨン
気づけば学校の制服を着た女の子が私の目の前にいた


少しつれ目なめで私を見ている
 チェヨン
チェヨン
あまり、見ない顔....名前は?
ツウィ
ツウィ
ツウィ
 チェヨン
チェヨン
ツウィは、ここ、学校?
ツウィ
ツウィ
...だったけど、今は行ってない
 チェヨン
チェヨン
なぜ
ツウィ
ツウィ
普通が何かわからないから
ツウィ
ツウィ
みんな私のこと受け入れてくれないの
ツウィ
ツウィ
私何も悪いことしてないのにさ
 チェヨン
チェヨン
.......
ツウィ
ツウィ
チェヨンも見ない顔だね
 チェヨン
チェヨン
私、転校生
 チェヨン
チェヨン
半年前、ここに来た
半年前と言うとちょうど私が学校に行かなくなってからチェヨンは来たのだ
ツウィ
ツウィ
ふーん
正直私には関係ない
ツウィ
ツウィ
じゃ、私帰るね
後ろを向きに歩き出そうとした時




チェヨンが私の服を引っ張った
ツウィ
ツウィ
うぉっ!
 チェヨン
チェヨン
なんで、学校、行こうよ
ツウィ
ツウィ
.....今の話聞いてた?
ツウィ
ツウィ
行っても何も変わらない
ツウィ
ツウィ
帰るの、その手離して
 チェヨン
チェヨン
嫌だ、離さない
ツウィ
ツウィ
人が嫌がってるのにやるのはいじめと同じだよ。人が嫌がるのにやる意味ってあるの?
 チェヨン
チェヨン
......
ツウィ
ツウィ
あっ.....
またやってしまった
ツウィ
ツウィ
ご、ごめ..
 チェヨン
チェヨン
ふっ、ふははははww
 チェヨン
チェヨン
あんた面白いねwww
さっきまでつまらなそうな顔をしていた彼女の顔が笑顔に変わった
 チェヨン
チェヨン
あはははww
あ〜っ、久しぶにこんなに笑ったわ
 チェヨン
チェヨン
私はその性格好きだよ
ツウィ
ツウィ
えっ!
初めてだった



自分の性格を好きだと言ってくれたのは
 チェヨン
チェヨン
もっと自信持ちな
こんな素晴らしい性格持ってんだから
ツウィ
ツウィ
でも、これは普通じゃない
 チェヨン
チェヨン
普通普通って、じゃあツウィが思う普通はなんなの?
ツウィ
ツウィ
それは....
何も言えなかった


だって分からなかったから
 チェヨン
チェヨン
私は、ツウィの性格好きだよ
嘘ついて猫かぶってる人達なんかよりもずっとずっと素敵だと思う。自分らしくいられるツウィ、すごいと思うよ
ツウィ
ツウィ
........ポロポロ
 チェヨン
チェヨン
「自分らしくいて」それが1番普通だよ
ツウィ
ツウィ
ポロポロ....私
ツウィ
ツウィ
なんで今日あったばっかのあんたに言われなきゃいけないのよ〜ポロポロポロポロ
チェヨンのそんな言葉を聞くと私は大声で泣きながら地面にしゃがみ込んだ
 チェヨン
チェヨン
その素直さも好きだわ
チェヨンは地面にしゃがみ込んだ私の前に目線を合わせて手を差し出した


 チェヨン
チェヨン
私、ツウィのこと、まだ全然知らないけど
なんだか一緒にいるといい気がする
 チェヨン
チェヨン
私があんたを受け入れるからさ、一緒にいよ
そういい、もう1度チェヨンは笑った
ツウィ
ツウィ
.......
たった数分前に出会った女の子で一体何が変わるのだろう
まだ名前しか分からない彼女を信じてもいいのか




ツウィ
ツウィ
うん
いや、そんなのは関係ない





彼女はこんな私を初めて「受け入れてくれた人」なのだから
生まれてから今日まで誰からも自分を受け入れてもらえなかった、変わってる、おかしい、そんなことを言われる日々だった



けど、あなたはそんな私を好きだと言ってくれた、一緒にいたいと思ってくれた




そんなの断る理由なんてないよ
私はそっと右手でチェヨンの手を優しく握った
ツウィ
ツウィ
私も、なんだかチェヨンといた方がいいと思う。これからよろしくね!
私は泣くのをやめて、今まで間にないくらいの笑顔でそう言った。


その途端今まで抱え込んでいたことが一気に解けてなんだか気持ちが楽になった気がした。


その日から私は少しずつ学校にも行くようになって、気づけば前みたいに周りのことが気にならなくなっていた。

















































































ツウィ
ツウィ
.........夢?
気づけば私は教室の机の上で寝ていた
チェヨン
チェヨン
あ、起きた
横では本を読んでこちらを見ているチェヨンがいた
ツウィ
ツウィ
先に帰って良かったのに
寝ていたからだをゆっくりと起こしチェヨンの方を見た
チェヨン
チェヨン
別に、私が居たいから、いた、それだけ
読んでいた本をパタンと折りたたみ席を立ったチェヨンは私のカバンを差し出してきた
チェヨン
チェヨン
もうすぐ雨が降るって、帰ろ
















ツウィ
ツウィ
......ねぇ、チェヨン
ツウィ
ツウィ
どうしてあの時私に声をかけてくれたの?
チェヨン
チェヨン
学校からの帰り道ふとそんな話をした
ツウィ
ツウィ
中学三年生のあの日、私たちが初めて出会ったとき、たまたま学校の前にいた私になんで声をかけてくれたの?
ツウィ
ツウィ
かけなくたって良かったんじゃないの?
チェヨン
チェヨン
.......
チェヨン
チェヨン
ツウィが、すごい寂しそうな顔をしてた、ただ、それだけ
ツウィ
ツウィ
え、うそ〜!
チェヨン
チェヨン
ほんと、てかどうしたの急に
ツウィ
ツウィ
うふふふ
さっきね、なんだか素敵な夢を見たの
チェヨン
チェヨン
素敵な夢?
ツウィ
ツウィ
そうだよ!チェヨンと私が初めてであった日のことだよ!
チェヨン
チェヨン
あー
確かにあった、そんなこと
ツウィ
ツウィ
「あー」ってひどっ!
私にとっては忘れられない出来事なんだよ!頭バカになった?!
チェヨン
チェヨン
バカになってない。
.....で、どう?今は自分らしくいられてる
ツウィ
ツウィ
チェヨン
チェヨン
自分らしくいられてる?普通にいられてる?
ツウィ
ツウィ
......うん、うん!
いられてるよ!私、今自分のこと大好きなんだよ!
チェヨン
チェヨン
....そ、
ツウィ
ツウィ
私やっぱりあの時チェヨンの手をとって良かった!そのおかげで私今すごい幸せだから、あの時私を受け入れてくれてありがとう!!
チェヨン
チェヨン
...........
私はチェヨンに抱きつきそのまま走った
ツウィ
ツウィ
さっ!どっちが先にあそこの信号まで行けるか勝負だ!負けた方がジュース奢りね!!
ツウィ
ツウィ
チェヨン足遅いから絶対無理だと思うけどwwww










チェヨン
チェヨン
ツウィ、違うよ
チェヨン
チェヨン
ツウィが私を受け入れてくれたんだよ
チェヨン
チェヨン
ツウィがいたから私も今、自分らしくいられてるんだよ
ツウィ
ツウィ
え?なんか言った?
チェヨン
チェヨン
...別に
私が走り出した時チェヨンが何かを言っていたけど私には聞こえなかった
チェヨン
チェヨン
私、足速いから
ツウィ
ツウィ
え、うそ、あ、ちょっと!!
スタスタ🏃‍♂️!!


















私が自分らしくいられてるのはチェヨンという友達がいてくれたからだと思う


それをどう思うかは人それぞれだと思うけど、少なくとも私はチェヨンのおかげで今日まで自分らしくいれた



だってひとりじゃ何もできないもん

自分らしくいたいならまず友達を、自分自身を信じてみよう


友達がいなきゃ自分らしさなんて無くなっちゃうよ







そう
きっと、あの時私がチェヨンと初めで出会った日も
私が、私自身が道を開いたんだ
あの時から私はもう、「普通」なんて言葉どうでもよかったのだ



私のように誰かに「おかしい」とか「変わってる」とか言われてる子達にもわかっていて欲しい
自分らしくいる、それが一番自分が幸せになる方法だよ



だってそのおかげで私は今幸せだから
自分のことを悪く言うやつなんて気にしなくていい、自分のことを受け入れてくれる人、そばに居てくれる人がいればそれでいいんだよ
ツウィ
ツウィ
チェヨン、ありがとうっ!
それと、たまにちゃんとお礼もしなきゃね!

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