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第1話

Prolog
463
2022/08/01 07:05





『おかぁ…さん…?』




頭が痛い

手に力が入らない


『おと…さ』

声も掠れる



周りは瓦礫の山


少し離れたところから騒がしく音が聞こえる



『…どこいったの…?


 おかー…さん おとーさん…?』



下半身が瓦礫に挟まれて身動きが取れない



今日は…私の誕生日だから


2人ともわざわざお休みを取ってくれて
沢山お買い物しようねって話してたのに




目眩が収まって周りを見ると



すぐそばに両親が倒れていた



『2人とも…起きて

 こっち向いて…』


小刻みに揺れる手を必死に伸ばす



『あと…少し…ッ

 …!!?…ぁ…』

やっと掴めたお母さんの手は

ひんやりと冷たく
少し固くなった手からは

もう生気など感じられなくて



『ぁ…ぁぁ…あ゛ぁ!!』

胸が張り裂けるような衝動を叫んだ


『私は…どうしたらいいの…?』

大きなショックと気力の限界で

ゆっくりと意識がなくなる





『…?!! おい!まだ人がいる!

 子供だ! 医療係呼べ!!』


誰…??



『…!!両親が…チッ…くそ…!

 おい、まだ死ぬな。よく頑張った』


あぁ…視界がぼやけて…



『助ける

 絶対死ぬなよ』


沈んでいく意識の中でその言葉が鮮明に聞こえた



『助けて…』


呟く様に言ったその言葉を最後に私は目を閉じた

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