きぃ…
ドアが開いた
やめて!入ってこないで!
「君、大丈夫?」
「へっ?」
優しい声がした
思わず顔をあげた
人間…
怖い記憶しかない
「私のこと、いじめる?」
「え?」
「髪を切る?服を破る?」
思わず、聞いていた
「そんなことするわけない!」
「ほんと?」
「うん、ほんとだよ」
彼は優しい笑顔で囁いた
「そんなことより、君は?
ひとりでここに住んでるの?」
「うん、いつもひとりなの」
「寂しくない?」
「…うん、誰にも会いたくないの
誰とも話せない」
「でも、僕とは、はなせているじゃないか」
「えっ」
たしかにそうだ
彼になら、心を許せている
不思議、すっごく…
「あなた、名前は?」
私は気になって聞いてみた
「僕はレイ
君は?」
「私はアリアナ」
「よろしく、アリアナ」
「よろしく、レイ」
「また、ここに来てもいいかな?」
え!?
「もちろん!いつでも、来て!」
私はレイのことを気に入っていた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。