第34話

妨げ。
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2018/02/08 11:47
沙織と沙織の彼氏さんと別れ、私は涼介と約束していたあの“秘密の場所”へと足を早まらせていた。

浴衣姿の足では、小走りで行っても着くのは7時半。のんびりとあちこち回っていて時間を忘れていたのが悪かった。
あなた

はぁ、はぁ………ど、どうしよ

涼介に一応伝えておいた方がいいかな。
と、私は巾着からスマホを取り出し涼介のlimeを開いたその時だった。
神谷先輩
―――なにしてんの、あんた
聞き覚えのある甘ったるい声。
何だかとても嫌な予感がした。

あなた

……ッ!せ、先輩…………ッ!

神谷先輩
何、どこに行くの?
先輩の鋭い目付きに恐怖を感じ、思わず後ずさる。手に持ったスマホをとっさに巾着にしまい、「何でですか?」と恐る恐る問いかけた。
神谷先輩
まずこっちの質問に答えてよ。どこに行くの?
あなた

………ッ、い……言えません………ッ!

はぁ?と声を張らせる彼女に、思わず身が縮む。怖い、とても怖かった。
神谷先輩
何、もしかして涼介くんの所?
あなた

………!

一歩一歩こちらへ歩み寄る先輩の威圧感に押し潰されそうになりながらも、勇気を振り絞りこちらも眉を釣り上がらせて先輩を見上げた。
神谷先輩
へぇ、そうなんだ?
神谷先輩
場所、教えて?………代わりに私が行くからさ
あなた

へ………

先輩が代わりに涼介の所へ?
しかも私と涼介2人だけの秘密の所………。

もしも教えてしまったら、先輩は涼介に告白してしまうかもしれない。そして、涼介もそれをOKしてしまったら……。


そんなの嫌だ。
涼介がほかの人と付き合ってしまうなんて。
……それに、2人だけの秘密なのに、それをほかの人に教えてしまったら涼介を裏切る事になっちゃう。
だから………。
あなた

嫌です

神谷先輩
――は?
あなた

涼介の所には私が行きますんで。
涼介の居場所も絶対に教えません

震える声で、精一杯そう伝えた。
いや……叫んだの方が正しいのかもしれない。


周りの人達が、こちらを見てはコソコソと何かを話し合っていた。

どこか恥ずかしさを感じながらも、そんな思いも涼介の事を考えればいとも簡単に消えてしまう。
あなた

私、涼介の所に行かなきゃ行けないんで失礼しま―――

神谷先輩
ふ………っ……ふざけないでよ………っ!
あなた

―――!!

私の言動に腹を立てた先輩が、手に下げていた少し重たそうなカバンで私の顔を思い切り殴った。

その勢いで思わず倒れ込んだ私に、先輩は鬼のような剣幕で「ふざけんなよ……っ」と呟く。
神谷先輩
後輩のくせに生意気過ぎなんだよ………
私と目が合うようにしゃがみ込んだ先輩は、酷く私を睨みつけながらその左手を上へ挙げた。
あなた

………っ!

打たれる。

そう思って私は反射的に力一杯目を閉じた。

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