私は、炭治郎に駆け寄った。
炭治郎は痛みに耐えるようにうめきながら、体をこちらの方に寝返らせる。
私の目から涙がこぼれ落ち、炭治郎の服を濡らす。
炭治郎はニコッと微笑んで、
そう優しく問いかけてきた。
そうは言っているが、血の量を見れば明らかだった。
そう言うと炭治郎はすぐに、
そう答えた。
見ててわかる。どんどん限界がきていると。
そこまで言うと炭治郎は、
そう言って優しく目を閉じた。
炭治郎の体を抱きしめながら、そう泣き叫んだ。
炭治郎を屋敷に連れて帰った。
しのぶさんが、一生懸命、出来る限りの治療をしてくれた。
それでも、起きる確率は、限りなく低いという。
それでも、私は、諦められなかった。
私は、ずっと炭治郎の寝ている部屋にいた。
朝から晩まで。
他のみんなには、すごく心配された。
けれども私は、炭治郎のもとを離れなかった。
離れたくなかった。
この世で一番大切な人だから。
すごく後悔をした。
油断しなければ。
気を緩めなければ。
庇われなければ。
連れていかなければ。
返事を伝えていれば。
どれも、もう叶わない。
ならせめて、一緒にいたい。
そう思って、ずっと炭治郎の手を握っていた。
がしかし、ずっと見ていたせいで体が限界のようで、私は、炭治郎の体に上半身を預けて、覆い被さるように、寝てしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。