第32話

# 31
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2018/09/16 05:33
(( 優斗side ))


あなた「この音とこの音を合わせて 、ここは …… 」


無理してる 、絶対無理してる 。


俺らの曲とB少年の曲をこんな短期間で作り上げるなんて 。


無理してるに決まってる 。


前より痩せちゃったし 、顔色も悪い 。


食べる量も確実に減ってるし 、時々頭を痛そうに押さえてる 。


それでも 、一生懸命なあなたを見ると言えなくなるんだ 。


あんなにキラキラしたあなたの目は 、一度も見たことないから 。


『 ……… 』


あなた「よし 、あとは最後のサビだけ」


楽譜とペンを置いて 、またピアノに座るあなた 。


『あなた』


あなた「なに ?」


『無理だけは 、しないで』


あなた「分かってるよ 、大丈夫」


ねえ 、


この時俺があなたを止めていたら 、こんなことにはならなかった ?









瑞稀「あなた 、少しは休んで」


あなた「大丈夫 。それにこの曲仕上げたいから」


瑞稀「 ……… 休んでって言ってるんだけど」


あなた「大丈 … 瑞稀「大丈夫じゃねえだろ !!」


みずっくんの大声で稽古場にいた全員が振り向く 。


瑞稀「じゃあなに ?顔色悪くても 、目にクマができてても 、大丈夫だって言うの ?」


あなた「 ……… 」


瑞稀「無理すんな !」


あなた「 ………… 瑞稀には 、わかんないよ !!」


瑞稀「え ?」


あなた「瑞稀はわかるの ?私の気持ち !」


瑞稀「っ 、」


あなた「分からないんだったら言わないでよ !!」


あなたのこんな声 、初めて聞いた 。


温厚なあなたがこんな風になったことなんて一回もなかったのに 。


あなた「っ 、ごめん」


あなたは何も持たずに稽古場を飛び出した 。


『あなた !』


瑞稀「 ……… はあ」


涼「瑞稀 、」


瑞稀「俺さ 、ただ頼って欲しかっただけなんだよ」


涼「わかってる 。でも 、瑞稀は不器用だから」


瑞稀「ごめん」


涼「大丈夫 、ちゃんと仲直りしよう」


瑞稀「うん」


『あれ 、作ちゃんは ?』


蒼弥「作ちゃんならあなたちゃんのとこ行ったよ」


『そっか 、』









(( 龍斗side ))


『あなたちゃん 、』


あなた「あ 、作ちゃん …… 」


ベンチに座っていたあなたちゃんの瞳は潤んでいた 。


あなた「ごめんねっ 、騒いじゃって」


『大丈夫 。それより 、あなたちゃんどうしたの ?』


あなた「ほんとはわかってたの 、瑞稀くんが心配してくれてること」


『え ?』


あなた「だけど 、こんなこと今までなかったから 。認められて 、頼られることなんて」


『 …… どういうこと ?』


あなた「私は 、いつもお姉ちゃんに負けてたから」





(( あなたside ))


『お姉ちゃんはすごくて 、なんでも出来てた 。だからみんなお姉ちゃんを褒めて 、私を下に見てたの』


私がいじめられるようになったのも 、そのことがきっかけ 。


"なんで環奈ちゃんはできるのに 、あなたちゃんはできないの ?"


"あなたちゃんは 、双子のできない方なんだね"


そんな言葉を 、何度言われたか 。


きっと 、指の全てを使っても数えられない 。


『だから認めてくれたのが 、頼ってくれたのが嬉しくって 、』


ペンダントをギュッと握って 、涙を堪える 。


龍斗「あなたちゃん …… 」


作ちゃんはペンダントを握る私の手をそっと離し 、自分の手と重ねた 。


『作ちゃん 、ごめん 、ほんとにごめんねっ』


龍斗「 ……… 大丈夫 、大丈夫だよ」


作ちゃんは大丈夫 、そう言いながら 、私の背中を撫でてくれた 。

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