よう言ったのぉ。主は男じゃ
参謀を呼ぼう。作戦を建てようぞう。
えっ?!
そんな!いくらなんでも
樺残用でもない思いつきなのに
いきなり実用するなんて…
俺もそう思ったが、でも、
その判断を慰撫がっても意味が無い。
ピクシス司令は、今の俺達に
見えないものを見ようとしているんだろう。
見えないもの…
それに、多分作戦を続行する以上に
根本的な問題がある。
司令はその現状を正しく認識してる。
つまり…
敵は巨人だけじゃない。
っ?!
時は一刻を争う。
活躍してもらうぞ。若き兵士たちよ。
「トロスト区奪還作戦だと?!」
「嘘だろ。扉に開いた穴を塞ぐ技術なんてないのに」
「上は何考えてんだトロスト区に入ったって無駄死にだろ」
「穴を塞げない以上ウォールローゼの扉を死守するしかないってのに」
「ちくしょう…そんなに手柄が欲しいのかよっ」
注もーーーーーーく!!!
これより、トロスト区奪還作戦について
説明する。この作戦の成功目標は、
破壊された扉の穴を、塞ぐことである。
穴を塞ぐ手段じゃが、
まず彼から紹介しよう。
訓練兵所属エレン・イェーガーじゃ。
彼は我々が極貧に研究してきた
巨人化生体実験の成功者である。
彼は巨人の身体を生成し、
意のままに操ることが可能である。
巨人と化した彼は、前門付近にある
例の大岩を持ち上げ、破壊された扉まで
運び穴を塞ぐ。
諸君らの任務は彼が岩を運ぶまでの間
彼を他の巨人から守ることである。
巨人と戦う必要がない?
す、すみません。
一介の訓練兵が口を挟んでしまって…
構わん。話を続けたまえ。
はい。
巨人は通常より多数の人間に反応して
迫ってくるので、それを利用して
大勢でおびき寄せて壁際に集めることが
出来れば大部分は巨人と接触せずに
エレンから遠ざけることが出来ると思います。
また、おびき寄せた巨人たちは
後で大砲を利用して損害をださずに
倒せます。ただし、エレンを無防備に
する訳にもいかないので少数精鋭の班で
彼を守るべきだと思います。
それに、穴から入ってくる巨人との
戦闘も避けられません。
そこは精鋭班の技量にかかっています。
よしわかった。
そこを踏まえて練り直そう。
ただ、この作戦はエレンが確実に岩を
運んで穴を塞ぐことが前提です。
その確証が乏しいまま作戦を決行するのは
やはり疑問を感じるのですが…
確かに根幹の部分が不確かなまま
大勢を死地に向かわせることに
何も感じないわけではないが、
ピクシス司令の考えも理解できる。
ええ。1つは時間の問題ね。
今現在も巨人が街に入り続けてる。
街に巨人が充満するほど、
奪還作戦の成功率は絶望的になるわ。
それに加えてウォールローゼが
突破される確率も高くなっていくな。
それともう1つ。
人が恐怖を原動力にして進むには、
"限界"があるわ。
「あの…巨大な岩を持ち上げる?」
「そんなことが…」
「人類は遂に巨人を支配したのか?」
嘘だ!!そんな訳の分からない理由で
命を預けてたまるか!
俺達をなんだと思ってるんだ!
俺達は……使い捨ての刃じゃないぞー!
「人間兵器だとよ!」
「あやかしに決まってんだろ!」
「バカにしやがって」
「今日ここで死ねってよ!俺は降りるぞ!」
「俺もっ」
「俺もだ!」
「俺も降りるぞ!」
「俺もだ!」
駐屯兵団「待てぇ!貴様!進退だぞ!」
人類最後のときを家族と過ごします!
まずいなこれは……
あぁ。このままじゃ失所がなくなる
覚悟はいいな反逆者ども!!
今この場で叩き斬る!!
わしが命ずる!!
今この場から去るものの罪を免除する!
1度巨人の恐怖に屈した者は、
2度と巨人に立ち向かえん!
巨人の恐ろしさを知った者は
ここから去るがいい。
そして、その巨人の恐ろしさを
自分の親や兄弟、愛する者に
味わせたい者もここから去るがいい!!
「それだけはダメだ……娘は私の最後の…希望なのだから。」
4年前の話をしよう。
ウォールマリア奪還作戦の話じゃ。
あえてわしが言わぬともわかっていると思うがの、
奪還作戦と言えば聞こえはいいが
要は政府が抱えきれなかった大量の
失業者の口減らしじゃった。
みながその事に口を噤んでいるのは、
彼らを壁の外に追いやったおかげで
我々はこの狭い壁の中を生き抜くことが
できたからじゃ!
わしを含め人類全てに罪がある!
ウォールマリアの住民が
少数であったため争いは表面化しなかった
しかし今度はどうじゃ!
このウォールローゼが破られれば、
人類の2割の口減らしをするだけじゃ
すまんぞ!
ウォールシーナの中だけでは、
残された人類の半分も養えん!
人類が滅ぶのなら!
それは巨人に食い尽くされるのが
原因ではない!
人間同士の殺し合いで滅ぶ!
我々はここより奥の壁で死んではならん。
どうかここで、ここで死んでくれ!!
それからは、壁際に集めた巨人を倒すための
大砲の準備にはいった。
揃ったようじゃの。
諸君らの任務は1つじゃ。
エレン・イェーガーの護衛につき、
作戦過程で起きるあらゆるリスクを
排除すること。
本作戦中最も危険かつ、
難度の高い任務じゃろう。
諸君らの働き如何によって
人類の命運が決まると言っても
過言ではない。
司令。
1つよろしいでしょうか。
なんじゃ
人間兵器とやらは、
本当に機能するのですか?
よせリコ
貴方だって疑念を抱いてるんでしょ。
司令。この作戦は
エレン・イェーガーという
恐ろしく曖昧な根拠の上
成り立っています。
もしやつが機能しなければ
多くの兵が無駄に死ぬことに…
う〜ん…困ったのぉ…
お主らそんなに巨人に負けるのが好きか
っ!
っ!
っ!
わしは嫌いじゃぞ?
わしは負けることがなによりも嫌いじゃ。
だがあにはからんや
産まれてこのかた負け続けておる。
わしは巨人に勝ちたい。
あの、木偶の坊どもに
なんとしても勝ちたいんじゃ。
そ、それは私達も同じです!
ならば彼に賭けるしかなかろう。
お主らの言う恐ろしく曖昧な根拠だけが
巨人に勝ちうる唯一の
可能性なんじゃからな
「司令。そろそろ囮作戦開始時刻です。」
うむ。
イアン・ディートリッヒ、
リコ・ブレチェンスカ、
ミタビ・ヤルナッハ、
お主らは駐屯兵団の中でも
精鋭中の精鋭じゃ。
人類の命運はたくしたぞ。
はっ!
はっ!
はっ!
イアン、お主が部隊の指揮をとれ。
現場の判断は全て委ねよう。
私が…ですか…?
異論はないよ。
俺もだ。
しかし…私の力量では…
案ずるな。
お主は酒の味が分かる。
美酒も悪酒もどちらの味ものぉ。
任せたぞ。
………はっ!
エレン!すまない…
?
結局、エレンに全ての責任を
負わせることになった。
さっき言っただろ。
お前には正解を導く力があるって。
俺はそれを信じるよ。
エレン…
やはり私も…
着いてくなんて言うなよ。
お前は囮部隊に配属されたんだろ。
でも…
エレンを1人にはできない
1人になったらまた…!
いい加減にしろ!
俺はお前の弟でも子供でもねぇ!
そう言ったはずだ!
エレン。死なないでね。
おう。
アッカーマン。フローラ。
?
?
お前らもイェーガーを守る
精鋭班に入れ。
っ?!
ミカサはともかく私は!
お前らの腕が必要だ。
自信を持て。
行くぞ。作戦開始だ!
じゃあなアルミン。死ぬなよ。
うん。エレンも。
走り出した。
何故私も選ばれたのか、疑問を抱きながら。
極貧人間兵器と言っていたが
穴を塞げるならなんでもいい。
お前を最優先で守る。頼んだぞ!
はい!
エレン体は大丈夫
あぁ
エレン
だから大丈夫だって
囲まれてた時より大分マシだ!
ままごとやってんじゃないぞイェーガー!
フローラも!ぼーっとしてると食われるぞ!
そんなつもりは…
そんなつもりは…
お前みたいな甘えたガキに
人類の命運をかけなきゃならんとはな
お前たちいい加減にしろ!
もうすぐ岩までの最短ルートだ!
今見える限りでは巨人はいない!
みなが上手く囮をやっているんだろう
1つ言っておくぞ。イェーガー。
この作戦で決して少なくはない数の兵が
死ぬことになるだろう。
あんたの為にな。
それは私たちの同僚や、先輩や、
後輩の兵士たちだ。
当然兵士である以上、死は覚悟の上だ。
だがな、彼らは物言わぬ駒じゃない。
彼らには名前があり家族があり
その分だけの思いがある。
アリョーシャ、ドミニク、フィーネ、
イザベル、ルードビヒ、マルティナ、
キド、ハンス、
みな、血の通った人間だ。
訓練兵時代から同じ釜の飯を食ってる
やつもいる。
そんな彼らの多くが今日、
あんたのために死ぬことになるだろう。
あんたには、彼らの死を
犬死ににさせてはいけない責任がある。
なにがあろうとな。
そのことを甘えた心に刻め。
そして、死ぬ気で責任を果たせ。
はい!
ここだ!行くぞ!
イアンさんの合図と共に飛び出した。
リコさんが緑の煙弾を打った。
それと同時に作戦が始まった。
エレンが壁の前に着くと同時に巨人化した。
(人間の比率で考えれば、
きっとあの岩を持ち上げることは
不可能だろう。
でも、きっとエレンには
私たちを導く力がある。)
そう思った矢先、エレンはミカサに殴りかかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
遅くなっちゃいましたぁーー!!
ごめんなさーーい!!
今日でやっと夏休みだ……
次のお話も見てね
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!