第5話

事実
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2018/01/20 10:22
その紙を拾い上げる男の人。

見覚えがないのか、首を傾げた




有岡「…あぁほら契約書、!俺ちゃんと読んでませんけどしっかりここに契約を!」




まさか、と思い彼の契約書を見るが確かにそこには彼の名前らしきもの…が




"有岡 大貴"



目をぱちくりしてその字を見て、ふとその上の文に視線を滑らせた。





"____なお、この物件は男女共有の一室となっております。"








「…………



…え!?」




有岡「ぅえっ、?」





その言葉を飲み込んだ瞬間、背中に冷たい汗が流れる感覚



なに………


なにこれ!?






有岡「?…ちょ、なにか?」




その一文から目が離せない私を見て、不思議に思った彼も契約書を覗く。



途端、ガサッと紙を取られる。







有岡「…な、なんだこれ!?男女共有!?

こんなの知らねー!!!!!」






しっかり契約書を読んでいなかったこの人が悪い。




…と、言いたいところなんだけど、実を言うと私もちゃんと契約書に目を通していなかった。


そんなことがあるなんて、思うわけがないんだから。








有岡「うそだ…」




男の人は動揺を隠せない様子で契約書を睨みあげている

私も急いでさっき確認した契約書を探した。















「…っ!」




案の定、彼と同じ契約書の文末には例の一文。






男女共有…


シェア……ハウス…?









信じ難い事実。

まさか、こんな最悪なことがあるなんて




最悪な出会いかと思えば、最悪な事実。

こんなにも迂闊だった自分を呪いたくなる日はない。





「…今日から……」


有岡「二人で住む、てこと…?」







だから安いわけだ。



…いやいやいや!
そんなこと言ってられない










「……」



まさかのお互い知らなかった事実

いきなり会った初対面の人と





有岡「………」






しかも男の人と


一緒に住むなんて、運命だとでも言うんでしょうか。神様。










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