第2話

中編
31
2021/09/19 23:14
部屋に帰って、明かりのない寝室のベッドにドサリと寝ころんだ。
あなたは、生まれつき難病にかかっていた。
寿命がいつ来るのかもわからない、らしい。
でも、もしかしたらもう余命宣告をされているのかもしれない。
僕に心配かけまいと言っていない可能性は高い。彼女の事だから。
それに、あんなストレスの溜まるような日常なら、寿命が縮んでもおかしくない。
……思い出すだけでも腹が立つ。
人の醜さに、そして自分の弱さに。
あなたはいじめを受けている。そして、虐待も。
どちらも僕が出会う前から受けているようだ。
彼女は隠してる。いじめられていることも、虐待を受けていることも。
…僕は、虐められることの苦しさを知っている。
彼女と会ったのも、僕がいじめられているところを助けられたからだ。
無視され、物を壊され、殴られ、蹴られ。
壊れかけてたところを彼女に救われた。
神薙 氷空
神薙 氷空
……今度は、僕が。
彼女を助ける番だ。

そう、思うのに。
体は動かないし、どうすればいいのか分からない。
なんで?
なんで、僕はこんなに弱いんだろう。
神薙 氷空
神薙 氷空
君みたいになりたいよ。
ハハ、とこぼれた乾いた自嘲の笑み。
動かなきゃ。
今、彼女を救えるのは僕だけなんだから。

プリ小説オーディオドラマ