あれから数十分、火神とは同じ方向で
「テツと変わって」 そう何度も思いながら家に着いた
私の家に両親はいない
両親は海外で仕事をしていて私だけが日本にいる
そんな私には毎回決まってやることがある
制服からバスパン、長そでに着替えボールと水
筒、その他必要な物をもって家を出た
少し距離はあるけど歩いて行ける距離
私は週に4回、放課後バスケをしにバスケットゴー
ルのある公園に向かう
夜のおかげで人は毎度1人もおらず1人で独占状態
そんな日々だった
バ シ ュ ッ
ダ ン ッ
ダ ダ ダ ダ ダダ
静かな、少し車の音が聞こえる中1人静かにバスケ
をして
1時間ちょっと、
流石に夜も遅いので歩いて帰った
コ ツ 、 コ ツ 、 コ ツ
静かな中で響く私の足音と少しズレたタイミング
で聞こえる足音
少しして気付いた
私の心は恐怖で少し侵食されていた
怖いから裏道から帰らず大通りに出て街灯の下で
帰ろう
そう思い少し早足で歩いた
数十分後、
大通りにやっと入って
「もう大丈夫だろう」 そう思って歩いていた
けど少し遠目の人並みから見える色んな人のシル
エットが先程の人を連想させ怖くて私は早く帰ろ
うとまた早歩きで歩いた
家の近くの路地まで歩いて数分
先程の足音は雑音とともに消えていて
私はもう来ていない
そう思っていた時にまた
コ ツ 、 コ ツ 、 コ ツ
先程の足音が聞こえる
その足音はだんだん早くなって
ついには
名前まで読んできたのだ
私は怖くてでも家の近くだから駆け込んだら特定
されると思い思い切り振り向いた
けどその姿はどこにもなくて
展開についていけず言葉が漏れた
その口調、その声
一人の男の影が頭を横切った
とりあえず そこ、と言われた方を見てみると
やっぱり
テツだった
本人はなにもわかってなくて
少しシュンとするテツを見て
一気に気が抜けた
あぁあれはテツだったのか
不審者じゃなくて良かった
そう心底思った
テツは私の隣に並びそう言って
私を見るよう見上げて言ってくれた
そんなテツが可愛くて
嬉しくて
けどそんな言葉で今の雰囲気を壊したらダメな気
がして
私は何も言わなかった
ただ一言
そう言って歩いて帰った
𝕟𝕖𝕩𝕥➯➱➩
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。