第8話

二人の溝
65
2019/05/26 05:50
その後、私達は手を繋いだまま、デートを楽しんだ。
そして、夕暮れ。
琉生
琉生
はぁぁ~…あっという間だったな~
未薗
未薗
ね、本当楽しかった
琉生
琉生
なぁ…最後にさ、あそこ行かない?
琉生が、丘のてっぺんを指差した。
未薗
未薗
あそこって…
琉生
琉生
未薗が俺に告白した所!
俺にとってさ、あそこが一番の俺達の思い出の場所なんだよな~!
未薗
未薗
…そうだね
行こっか
琉生
琉生
おう!
私達は、手を繋いで、丘のてっぺんに向かった。



登ってくると…
未薗
未薗
あれ?
琉生
琉生
誰かいるな~
てっぺんには、二人の人影があった。
だんだん近付いていくと…
未薗
未薗
あっ…!
琉生
琉生
翔と葵衣じゃん!
翔と葵衣が、向き合って立っていた。
翔
…だから、…
葵衣
葵衣
……った…
二人の声が、まだはっきりと聞こえない距離の時…
琉生
琉生
おーい!翔!葵衣!
琉生が、二人に向かって手を振り始めた。
未薗
未薗
ちょ、琉生…!
琉生の声が聞こえたのか、二人がこちらを見た。
私は、琉生につられて、丘のてっぺんへ走って行った。
翔
…二人も来たんだ
琉生
琉生
おう!やっぱり俺達といえば、ここだよな~!
葵衣
葵衣
……
葵衣は、無言で空を見上げている。
その表情は、どこか寂しそうだった。
未薗
未薗
あの、あお…
葵衣
葵衣
私、帰る
琉生
琉生
え?
葵衣
葵衣
…ちょっと今、気分悪いから
そう言って、葵衣は丘を下って行った。
琉生
琉生
ちょ、葵衣⁉
翔
…今はそっとしといてあげて
琉生
琉生
…っ、分かった…
何があったのかな…
気になったけど、聞けなかった。



翌日。
未薗
未薗
あ、葵衣
葵衣
葵衣
…おはよ
未薗
未薗
おはよう!
あれ…今日は普通だな…
葵衣
葵衣
昨日、先帰ってごめん
未薗
未薗
…ううん
やっぱり普通だ。
そんなに大したことじゃなかったのかな…
琉生
琉生
ちょ、翔!返せって!
翔
宿題やってない奴に返す物なんてありません
未薗
未薗
あ、琉生!翔!
琉生
琉生
お!未薗と葵衣おはよう!早いな!
翔
二人ともおはよう
葵衣
葵衣
おはよ…何琉生、また宿題やってないのかよ
琉生
琉生
ギクッΣ(゚∀゚)
あのですね、葵衣殿、これには深~い事情がありまして…
未薗
未薗
琉生?どんな事情があっても、宿題はやってこないと
琉生
琉生
未薗~…
翔
お前の彼女がこんなに心配してるんだぞ?
琉生
琉生
ごめんなさい!明日から絶対する!
未薗
未薗
そうそう
葵衣
葵衣
宜しい
翔
てか、そろそろ行こう
遅れる
未薗
未薗
そだね
琉生
琉生
本当だ!やべ!
葵衣
葵衣
…だな
…なんか、葵衣…
翔から目そらしてる…?

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